祭をしる matsuri

本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

夜に響くねぶた囃子・笛と太鼓と手振鉦の役割・習える場所

2026.10.27 読了 11分

ねぶた囃子は、青森ねぶた祭の運行に合わせて奏でられる音楽です。使われる楽器は笛・太鼓・手振り鉦(てぶりがね)の3つ。笛の高い旋律、腹に響く太鼓、金属の鉦の音が重なって、あの独特の囃子になります。

「ねぶた笛」という特別な楽器があるわけではありません。竹で作った横笛=篠笛が、ねぶた囃子の笛として使われています。そして、聴くだけでなく習う場所が、祭の時期以外にも用意されています。

ねぶた囃子とは|笛・太鼓・手振り鉦の3つ

楽器 どんな楽器か 囃子での役割
笛(篠笛) 女竹で作った横笛 旋律を奏でる
太鼓 締め太鼓。大太鼓・中太鼓・小太鼓がある リズムと迫力をつくる
手振り鉦 手に持つ皿形の金属の鉦 拍子を刻み、音に明るさを足す

3つの楽器の奏者は、それぞれのねぶた団体の囃子方(はやしかた)として運行に加わります。跳人のように当日その場で加われるものではなく、団体に所属して練習を重ねた人たちです。

囃子は1曲ではない|場面ごとに7種類ある

運行中ずっと同じ曲を繰り返していると思われがちですが、違います。ねぶた囃子には、場面ごとに次の種類があります。

  • 進行:ねぶたが進んでいるとき
  • 戻り:戻るとき
  • 大休止・小休止:止まって休むとき
  • 集合:出発前に人を集めるとき
  • 小屋入れ・小屋出し:ねぶたを小屋に出し入れするとき

沿道で聴いていて音が変わったら、ねぶたの動きが変わる合図です。止まる前には休止の囃子に切り替わり、動き出す前には進行に戻ります。これを知っていると、人垣で山車が見えない位置でも、次に何が起きるかが音で分かります。

出発前の集合や、運行が終わったあとの小屋入れにも専用の囃子があります。運行コースの外でも囃子は鳴っているということです。

ねぶた笛と篠笛は何が違うか

結論から言うと、ねぶた笛は篠笛の一種です。青森ねぶた祭実行委員会は、ねぶた囃子の笛を「篠笛」として紹介しています。「ねぶた笛」は、ねぶた囃子に使う篠笛の呼び名と考えると整理できます。

ねぶた囃子の笛の規格

実行委員会の解説
材料 女竹(メダケ、しの竹)。伊豆・安房・山城・伊予産の竹が最良とされる
穴 吹き口が1つ、指で押さえる穴が7つ(6つのものもある)
長さ 約43〜45cm
音の高さ 長い笛ほど低く、短く細い笛ほど高い

「調子」をそろえないと団体で合わない

篠笛は全国の祭囃子で使われていて、長さによって音の高さ(調子)が変わります。ここが買うときの落とし穴です。

同じ団体の笛の調子がそろっていないと、合奏になりません。買うときに確かめるべきは「篠笛かどうか」ではなく、参加する団体と同じ調子かどうかです。見た目が同じでも長さが違えば音が合わず、練習に持っていっても使えません。

澄んだ音が出るまで3年と言われる

澄んだ音を出せるようになるには3年ほどかかるとも言われています。息の吹き込み方で音の高さが変わり、1オクターブ高い音を甲音(かんおん)、さらに高い音を大甲(だいかん)、低い音を呂音(りょおん)と呼びます。

同じ指使いでも息で音が変わるので、指を覚えれば吹ける楽器ではありません。買ってすぐ鳴らないのは普通だと思っておいてください。

太鼓|締め太鼓を最後まで叩き続ける

ねぶた囃子の太鼓は締め太鼓で、鋲を打った太鼓は使いません。大太鼓・中太鼓(コロバシダイコ)・小太鼓(ツケダイコ)があり、数えるときは「1ガラ、2ガラ」と数えます。

音の高さや強さは、締め方、胴の太さ、革の厚さ、さらに天気でも変わります。革が湿気を吸うためです。同じ団体でも日によって音が違うのはこのためで、締め直しながら合わせています。

運行は2時間前後続きます。その間ずっと同じ強さで叩き続けるには体力と熟練が必要で、実行委員会は叩き手を「ねぶたの鉄人」と紹介しています。

手振り鉦|3つのなかで最も新しい楽器

手振り鉦は、浅い皿の形をした金属の鉦です。銅と錫の合金(青銅)や真鍮で作られ、撞木(しゅもく)という棒で縁の内側をこすったり、縁を打ったりして鳴らします。そのため「摺り鉦」「当り鉦」とも呼ばれ、音から「チャンチキ」という愛称もあります。

意外なのはその歴史です。手振り鉦が青森の運行に現れたのは昭和20年代の後半で、すべてのねぶたで使われるようになったのは昭和40年ごろ。笛と太鼓に比べて、ずっとあとから加わった楽器です。

つまり、いま聴いている「ねぶた囃子らしい音」は、昭和40年代以降に完成した形だということになります。ねぶたの歴史そのものは ねぶた祭りの歴史と由来 にまとめました。

「ラッセラー」は跳人の声、囃子は囃子方

「ラッセラー」はねぶたの前で跳ねる跳人(ハネト)の掛け声で、囃子方が出す音ではありません。観光庁の多言語解説では、囃子方の太鼓に合わせてリーダーが音頭を取り、ほかの跳人が声を返して進む様子が紹介されています。

楽器を奏でるのが囃子方、声を上げて跳ねるのが跳人という分担です。参加のしかたも別で、跳人は正装を着れば当日飛び入りで加われますが、囃子方はそうはいきません。跳人として参加する方法と衣装は ねぶた祭りの衣装 にまとめています。

どの日に行けば囃子を近くで聴けるかは運行の形で変わります。日ごとの違いは 青森ねぶた祭の日程 にまとめています。

囃子は審査の15%を占める

ねぶたの各賞は、山車の出来だけで決まるのではありません。審査の配点はこう分かれています。

審査項目 配点 囃子で見られるところ
ねぶた 60% ―
運行・跳人 25% ―
囃子 15% 音色と旋律/リズム・テンポ・強弱/ねぶたとの一体感

注目したいのは「ねぶたとの一体感」が項目に入っていることです。囃子だけがうまくても評価されません。山車の動きと音が合っているかが見られます。

さらに囃子賞という部門賞が別に設けられていて、囃子が最も優れた団体に贈られます。聴き比べるなら、前年の囃子賞を取った団体を調べてから沿道に立つという見方ができます。各賞のしくみは ねぶた大賞 で紹介しています。

祭の時期以外に聴く・習う

ねぶた囃子は8月の6日間しか聴けない、というわけではありません。青森駅前の ねぶたの家 ワ・ラッセ で、聴くことも習うこともできます。

聴く|おまつり体験の演奏時間

ワ・ラッセの館内では、囃子の演奏を聴ける「おまつり体験」があります。ワ・ラッセの案内によると時間は次のとおりです。

  • スタッフの演奏:11:10、13:10、15:10、17:10から各20分
  • 囃子団体の演奏(大型連休などの日):11:00、13:00、15:00、17:00から各30分

実施の有無は日によって変わります。囃子団体の演奏に当たる日は演奏時間が30分と長く、人数も揃うので、聴くならこちらを狙う価値があります。

習う|参加費無料の囃子講習会

ワ・ラッセでは青森ねぶた囃子講習会が開かれています。2026年の9〜12月は次の日程でした。

内容
日程(2026年9〜12月) 9/12(土)、9/27(日)、10/10(土)、10/17(土)、11/1(日)、11/14(土)、12/6(日)
時間 19:00〜20:30
場所 ねぶたの家ワ・ラッセ 1階 交流学習室
対象 小学生以上(小学生は保護者同伴)
講師 青森ねぶた正調囃子保存会
参加費 無料
申し込み 不要。当日19時までに行く

月に1〜2回、初心者歓迎・無料・予約なしで、保存会の人から直接習えます。青森に住んでいなくても、その日に青森にいれば参加できます。当館の駐車場を使う場合は駐車券を持参してください(問い合わせはワ・ラッセ 017-752-1311)。

貸してもらえるもの、自分で持っていくもの

講習会の案内には「手振り鉦・バチは貸出いたします」とあります。裏を返すと、笛の貸出は案内されていません。

つまり、手ぶらで行って試せるのは太鼓と手振り鉦。笛をやってみたいなら自分の笛を持っていくことになります。どの楽器から始めるかで、準備するものが変わります。

囃子方として運行に加わるには

講習会で習うことと、本番の運行に囃子方として加わることは別です。囃子方は飛び入りでは参加できません。各ねぶた団体や囃子の会に所属し、練習を重ねたうえで運行に加わります。

入り口は青森市内のねぶた団体か囃子の会への問い合わせで、青森ねぶた祭実行委員会事務局(017-723-7211)でも案内を受けられます。練習を始める時期や頻度は団体ごとに違うので、参加したい団体に直接確認してください。

順序としては、まず講習会で楽器に触れてから団体を探すほうが、何をやりたいかが決まった状態で話ができます。

笛を買うなら|選び方と価格

団体に入るなら、調子を合わせてから買う

繰り返しになりますが、ここを外すと使えない笛を買うことになります。調子(長さ)と穴の数を団体の指定に合わせてください。買う前に必ず確認する項目です。

まず音を出してみたいなら

団体が決まっていない段階なら、ねぶた囃子用とうたわれた篠笛を選ぶのが無難です。価格の目安は次のとおりです(2026年10月時点の通販の表示価格)。

  • 練習用の篠笛:千円台から
  • 籐巻き・漆塗りのねぶた笛:数千円〜1万円台

講習会で貸してもらえるのは手振り鉦とバチなので、笛をやるつもりで講習会に行くなら、安いものでも1本持っていくとその日から吹けます。指使いを覚えるだけなら高い笛は要りません。

弘前ねぷた囃子との違い

同じ津軽の祭でも、弘前のねぷた囃子は青森と作りが違います。

青森ねぶた 弘前ねぷた
囃子の種類 進行・戻り・大休止・小休止・集合・小屋入れ・小屋出し 進行・休止・戻りの3種類
掛け声 ラッセラー(跳人) ヤーヤドー(進行のときの掛け声)
楽器 笛・太鼓・手振り鉦 太鼓・笛・鉦。鉦を使わない団体もある

弘前では戻りに別の掛け声があるのが特徴です(弘前市の広報)。同じ行列を見ていても、進んでいるときと戻っているときで囃子も声も入れ替わります。

また弘前の鉦は、もともと使われていなかったため使わない団体があります。団体ごとに音が違うのはこのためです。2つの祭の違いは ねぶたとねぷたの違い で比べています。

弘前まで足を延ばすなら、半日・1日の回り方を 弘前観光モデルコース にまとめています。

よくある質問

Q. ねぶたばやしとは何ですか?
A. 青森ねぶた祭の運行で奏でられる囃子です。笛(篠笛)・太鼓・手振り鉦の3つの楽器を使い、進行・戻り・大休止・小休止・集合・小屋入れ・小屋出しと、場面によって囃子を変えます。

Q. ねぶた笛と篠笛の違いは何ですか?
A. ねぶた笛は篠笛の一種です。祭の実行委員会もねぶた囃子の笛を篠笛として紹介しています。長さ約43〜45cm、指穴は7つ(6つのものもある)。買うときに大事なのは「篠笛かどうか」ではなく、参加する団体と同じ調子(長さ)かどうかです。

Q. 使われる楽器は何ですか?
A. 笛(篠笛)、太鼓(締め太鼓)、手振り鉦の3つです。このうち手振り鉦が加わったのは昭和20年代後半で、3つのなかでは最も新しい楽器です。

Q. ねぶた囃子を習える場所はありますか?
A. ねぶたの家ワ・ラッセで青森ねぶた囃子講習会が月1〜2回開かれています。参加費無料、申し込み不要、小学生以上なら誰でも参加でき、講師は青森ねぶた正調囃子保存会です。手振り鉦とバチは貸してもらえます。

Q. 観光客でも囃子方として参加できますか?
A. 本番の運行に囃子方として加わるには、ねぶた団体や囃子の会に所属して練習を重ねる必要があります。跳人のような飛び入り参加はできません。楽器に触れるだけなら講習会が入り口になります。

まとめ|ねぶた囃子を楽しむチェックリスト

  • ねぶた囃子は笛・太鼓・手振り鉦の3つ。手振り鉦は昭和20年代後半から加わった新しい楽器
  • 囃子は1曲ではなく場面ごとに7種類。音が変わったらねぶたの動きが変わる合図
  • ねぶた笛は篠笛の一種。買うなら団体と同じ調子をそろえる
  • 囃子は審査の15%。「ねぶたとの一体感」も採点される
  • ワ・ラッセで参加費無料・申し込み不要の囃子講習会がある

聴きに行く前に確認すること

  • 祭で聴くなら、運行がゆっくり進む場所に立つ
  • 祭の時期以外なら、ワ・ラッセの演奏時間(囃子団体の日は30分)を調べた
  • 習いたいなら、講習会の開催日を確認した(当日19時までに行く)
  • 笛をやるなら1本持っていく(貸出は手振り鉦とバチのみ)
  • 笛を買うなら、団体の指定する調子を先に確認した

講習会で貸してもらえるのは手振り鉦とバチです。笛から始めるなら、まず1本手元に用意してください。初心者向けの手引きが付くものを選ぶと、指使いから入れます。

この記事の情報は2026年10月18日時点で、青森ねぶた祭公式サイト(ねぶた囃子・笛・太鼓・手振り鉦・審査方法)、ねぶたの家ワ・ラッセの公開情報、弘前市の広報、観光庁の多言語解説文データベースを確認したものです。講習会の日程は期ごとに変わります。お出かけ前にワ・ラッセの公式サイトでご確認ください。

PAGE TOP