祇園祭の「ちまき」で最初に知っておくべきことは1つです。厄除け粽は食べ物ではありません。
祇園祭宵山会議(京都府・京都市・八坂神社・祇園祭協賛会・祇園祭山鉾連合会ほか)が出す宵山ガイドは、厄除け粽を門口など目に入りやすい場所に掲げ、疫病や災難除けとして飾るものと説明しています。
厄除け粽は食べ物ではない
笹の葉で包まれた形をしているので、食べるものだと思われがちです。中に米は入っていません。飾るためのものです。
買って帰って開けようとする、という失敗がここで起きます。厄除け粽は開けません。そのまま掲げます。
掲げるのは門口など目に入りやすい場所
宵山ガイドの表現は「門口など目に入りやすい場所に掲げ」です。玄関のあたり、人の目に触れるところ、ということになります。
疫病や災難を除けるためのものなので、しまっておくものではありません。見える場所に出しておくことに意味があります。
食べられる「祇園粽」との違い
祇園祭の時期には、食べられる和菓子の粽も売られています。京都の和菓子店が作るもので、こちらは食べ物です。
| 厄除け粽 | 食べられる粽(和菓子) | |
|---|---|---|
| 食べられるか | 食べられない | 食べられる |
| 何のためか | 疫病・災難除けとして飾る | 食べる・贈る |
| どこで買うか | 各山鉾町(宵山の3日間) | 和菓子店、通販 |
| いつ買えるか | 宵山の3日間だけ | 店の取り扱い期間 |
同じ「祇園祭のちまき」という言葉で両方が指されるので、検索して出てきた商品がどちらなのかを確かめてください。食べたいのに厄除け粽を買う、飾りたいのに和菓子を買う、という取り違えが起きます。
由来は蘇民将来の話|茅の輪が粽になった
なぜ笹で包んだ形が厄除けになるのか。宵山ガイドが伝えている由来はこうです。
素戔嗚尊(すさのをのみこと)が旅の途中、貧しい蘇民将来(そみんしょうらい)の家に一晩泊めてもらった。そのお礼に、その子孫は疫病から免れると約束した。目印として茅の輪を腰に付けさせた——これが粽の起源とされています。
約束されたのは「子孫が疫病から免れること」
由来のなかで効いているのは「子孫」という言葉です。一晩のもてなしへの返礼が、本人だけでなく代々に及ぶ。だから毎年取り替えて掲げ続けるという形になります。
そして目印として茅の輪を付けさせた、というところも重要です。厄除け粽を目に入りやすい場所に掲げるのは、この「目印」の役割を受け継いでいるからです。
祇園祭そのものが疫病退散を起点としている祭です。歴史は 祇園祭とは|歴史と由来 にまとめました。
いつどこで買えるか|宵山の3日間だけ
買える期間が限られています。宵山ガイドによると、各山鉾の御神体にちなむ護符(ご札)は、前祭・後祭それぞれの宵山3日間だけ、各山鉾の周辺で売り出されます。
前祭7月14〜16日、後祭7月21〜23日
| 期間 | 日 |
|---|---|
| 前祭の宵山 | 7月14日・15日・16日 |
| 後祭の宵山 | 7月21日・22日・23日 |
年に合計6日です。巡行当日(7月17日・24日)ではなく、その前の宵山の期間です。
ここで重要なのは、屋台が出る日とは別だということです。屋台(露店)と歩行者天国は7月15日・16日の2日だけですが、授与品は後祭の宵山でも買えます。粽が目的なら、屋台の日程に縛られる必要はありません。混雑を避けて7月14日や後祭の宵山に行く、という選択ができます。
屋台ではなく各山鉾町の会所
売っているのは屋台ではありません。各山鉾の周辺です。山鉾を建てている町にそれぞれ会所があり、そこで授与されます。
つまり買いたい山鉾の町まで行く必要があります。四条通の歩行者天国を歩いていれば自然に買えるわけではありません。目当ての山鉾の場所を先に調べてから動いてください。山鉾の一覧と場所は 祇園祭の山鉾一覧、宵山の回り方は 祇園祭の宵山 にまとめました。
山鉾ごとにご利益が違う
宵山ガイドは、護符について各山鉾の御神体にちなむお守り札であり、山鉾によって意味や効果は異なると説明しています。
御神体が違うので、意味が違う。これが「縁結びの山鉾」「学業の山鉾」といった言われ方の根拠です。
個別のご利益は公式の宵山ガイドには載っていない
どの山鉾が何のご利益か、という一覧は宵山ガイドには書かれていません。各山鉾町がそれぞれ案内しています。
確実な確認の仕方は現地で聞くことです。各山鉾町の会所で授与されるので、その場で確かめられます。事前に知りたい場合は、山鉾ごとの御神体を調べれば見当がつきます。御神体が何かを見れば、その山鉾が何に結びついているかはおおよそ分かります。
通販で買えるか
厄除け粽は各山鉾町で宵山の3日間に授与されるものです。通販での扱いがあるかは山鉾町ごとに異なるので、目当ての山鉾町の案内を確認してください。
厄除け粽と食べる粽で、売っている場所が違う
検索で「祇園祭 ちまき 通販」と調べたときに出てくるものは、多くが食べられる和菓子の粽です。和菓子店が通販で扱っているものです。
整理するとこうなります。
- 飾る厄除け粽:各山鉾町で、宵山の3日間に授与される
- 食べる和菓子の粽:和菓子店の店頭と通販
通販で手に入りやすいのは後者ということです。厄除け粽が欲しいなら、宵山の期間に京都へ行くのがいちばん確実です。
飾り方
宵山ガイドの説明に沿うと、やることは2つだけです。
- 門口など目に入りやすい場所に掲げる
- 翌年の祇園祭で新しい粽に取り替えるまで、そのまま飾っておく
開けない、しまわない、途中で片づけない。1年間そこに掲げておくものです。
翌年の祇園祭で取り替える
宵山ガイドは「翌年の祇園祭で新しい粽に取り替えるまで飾っておきます」としています。つまり交換のサイクルが1年で、祇園祭が来るたびに更新する形です。
これは由来とつながっています。蘇民将来の子孫が代々疫病から免れるという約束なので、毎年掲げ直すことで続いていくという構造です。
1年たった粽をどうするか
宵山ガイドは「翌年の祇園祭で新しい粽に取り替える」までを示しています。取り替えたあとの古い粽の扱いについては、この資料に記載がありません。
確実な方法は授与を受けた山鉾町か八坂神社に確認することです。宵山の期間に新しい粽を受けに行くときに、古いものの扱いをその場で聞けます。翌年の宵山に古い粽を持っていくのが、聞くついでに済ませられる段取りです。
よくある質問
Q. ちまきは食べられますか?
A. 厄除け粽は食べられません。宵山ガイドは「門口など目に入りやすい場所に掲げ、疫病や災難除けとして飾る」ものと説明しています。食べられるのは和菓子店が作る粽で、別のものです。
Q. いつまで販売していますか?
A. 宵山の3日間だけです。前祭が7月14〜16日、後祭が7月21〜23日。各山鉾の周辺で売り出されます。巡行当日(7月17日・24日)ではありません。
Q. どんな意味があるのですか?
A. 素戔嗚尊が旅の途中、貧しい蘇民将来の家に一晩泊めてもらったお礼に、その子孫は疫病から免れると約束し、目印として茅の輪を腰に付けさせた——この話が粽の起源とされています。疫病や災難を除けるために掲げます。
Q. 長刀鉾のちまきはいつ買えますか?
A. 長刀鉾は前祭の山鉾なので、前祭の宵山(7月14〜16日)に長刀鉾の周辺で授与されます。山鉾ごとに護符の意味や効果が異なるので、現地で確認してください。
Q. 飾る期間はどのくらいですか?
A. 翌年の祇園祭で新しい粽に取り替えるまでです。つまり1年間、門口など目に入りやすい場所に掲げておきます。
まとめ|厄除け粽の押さえ方
- 厄除け粽は食べ物ではない。門口など目に入りやすい場所に掲げる
- 翌年の祇園祭で新しい粽に取り替えるまで、1年間そのまま飾る
- 由来は素戔嗚尊と蘇民将来の話。茅の輪が起源とされる
- 買えるのは宵山の3日間だけ(前祭7月14〜16日・後祭7月21〜23日)
- 屋台ではなく各山鉾町。屋台が出ない日でも買える
- 山鉾によって意味や効果が異なる。個別のご利益は現地で確認する
買う前に確認すること
- 行く日が宵山の期間か(巡行当日には授与されない)
- 目当ての山鉾町の場所(四条通を歩くだけでは買えない)
- 食べる粽と飾る粽のどちらが欲しいのか
- 1年間掲げる場所があるか
日程は 祇園祭の日程、屋台は 祇園祭の屋台、前祭と後祭の違いは 前祭と後祭の違い も参考にしてください。
この記事の情報は2026年10月18日時点で、祇園祭宵山会議(京都府・京都市・八坂神社・祇園祭協賛会・祇園祭山鉾連合会ほか)の「祇園祭 宵山ガイド(WEB版)2026」、京都市観光協会の「祇園祭」を確認したものです。山鉾ごとの個別のご利益、授与の時間、価格は各山鉾町にご確認ください。
