祇園祭の宵山(よいやま)は、山鉾が町に立ち、夜に灯りが入る期間です。巡行当日より、こちらのほうが「祭を歩く」体験に近くなります。
最初に押さえるべきことが2つあります。宵山は年に2回あること。そして宵山と山鉾巡行は別の行事だということです。
宵山は年に2回ある|前祭と後祭
祇園祭の山鉾巡行は年に2回あり、それぞれに宵山がついています。
前祭7月14〜16日、後祭7月21〜23日
| 宵山 | 山鉾巡行 | 山鉾の数 | |
|---|---|---|---|
| 前祭(さきまつり) | 7月14日・15日・16日 | 7月17日 | 23基 |
| 後祭(あとまつり) | 7月21日・22日・23日 | 7月24日 | 11基 |
どちらも3日間です。「祇園祭の宵山」と聞いて前祭の日程だけを思い浮かべると、後祭の宵山を見落とします。
山鉾を組み立てる山建て・鉾建ては、前祭が7月10〜14日、後祭が7月18〜21日。宵山が始まる時点で山鉾は建ち終わっています。
宵山・宵々山・宵々々山の呼び分け
3日間にそれぞれ呼び名がある、という言い方を見かけます。巡行の前日から数えて宵山・宵々山・宵々々山と呼ぶ慣習です。
| 日(前祭) | 慣習的な呼び方 | 巡行までの日数 |
|---|---|---|
| 7月14日 | 宵々々山(よいよいよいやま) | 3日前 |
| 7月15日 | 宵々山(よいよいやま) | 2日前 |
| 7月16日 | 宵山(よいやま) | 前日 |
ただし祇園祭宵山会議(京都府・京都市・八坂神社・祇園祭協賛会・祇園祭山鉾連合会ほか)が出す宵山ガイドは、7月14〜16日をまとめて「宵山」の期間として扱っています。
つまり「宵山」という言葉は、狭く16日だけを指すことも、広く3日間を指すこともあるということです。日程を調べるときは、呼び名ではなく日付で確認してください。
2026年と2027年の曜日
| 日付 | 2026年 | 2027年 |
|---|---|---|
| 7月14日 | 火 | 水 |
| 7月15日 | 水 | 木 |
| 7月16日 | 木 | 金 |
| 7月17日(前祭巡行) | 金 | 土 |
| 7月21〜23日(後祭宵山) | 火〜木 | 水〜金 |
日付は毎年固定です。2027年は7月16日が金曜、17日が土曜なので、金曜の夜に屋台が出て翌日が土曜の巡行という並びになります。混雑はとくに大きくなる見込みです。
「宵山巡行」という行事はない
検索でこの言葉を見かけますが、宵山と山鉾巡行は別の行事です。
- 宵山:山鉾が町に立っている期間。夜に灯りが入る。歩いて回る
- 山鉾巡行:山鉾が動いて町を進む日。前祭7月17日、後祭7月24日の午前
宵山の期間に山鉾が動くことはありません。動く山鉾を見たいなら巡行の日です。巡行では前祭23基が午前9時に四条烏丸を出発し、新町御池に11時20分頃に到着します。
ただし山建て・鉾建てのあとに「曳き初め」という試し曳きがあります。宵山より前に山鉾が少し動く機会で、これを「宵山巡行」と混同している場合があります。日程は 祇園祭の日程 にまとめました。
歩行者天国になるのは15日・16日だけ
3日間が同じではありません。宵山ガイドによると、
- 7月15日・16日の18時頃〜23時頃、四条通と烏丸通の一部区間で歩行者用道路規制
- 7月14日と後祭宵山期間中(7月21〜23日)は、この規制も露店の出店もない
つまり屋台と歩行者天国があるのは、祇園祭の31日間のうち2日だけです。屋台の詳細は 祇園祭の屋台 にまとめました。
四条通は左側通行
宵山ガイドは、歩行者に四条通の左側通行を求めています。車道まで人が出る状態になるので、流れを一方向にそろえないと動かなくなります。
あわせて規制中はコインパーキングの出入りができません。公共交通の利用と、自転車持ち込みの自粛も求められています。
夜の山鉾を見る|駒形提灯と祇園囃子
宵山の中心はこれです。山鉾に駒形提灯の灯りが入り、祇園囃子が流れます。昼に見る山鉾とは印象が変わります。
囃子は各山鉾に約30曲|楽器は鉦・太鼓・笛
「コンチキチン」と呼ばれる祇園囃子について、宵山ガイドは次のように説明しています。
- 囃子が演奏される山鉾がある
- 各山鉾に約30曲あり、場面に応じて組み合わせて演奏する
- 楽器は鉦(かね)・太鼓・笛の3種類
- 鉦方から稽古を始め、成人すると太鼓方や笛方になるのが一般的
約30曲を場面で組み合わせるということは、山鉾の前に立ち止まる時間が長いほど違う曲が聞けるということです。同じ「コンチキチン」が繰り返されているように聞こえても、曲が変わっています。
また囃子が演奏される山鉾とされない山鉾があります。音を聞きたいなら、囃子方が乗っている山鉾を探すことになります。
屏風祭|旧家と老舗が秘蔵の美術品を公開
宵山ガイドによると、宵山の期間中、山鉾周辺の旧家や老舗が、屏風や掛け軸などの秘蔵の美術品を飾って公開します。これが屏風祭(びょうぶまつり)です。
山鉾を見ながら歩いていると、町家の格子が開いていて中が見える。そこに美術品が飾られている——という形です。宵山ガイドは「古都の雰囲気の中をそぞろ歩きながら見て回るのも祇園祭の楽しみの一つ」としています。
これは宵山の期間だけの公開です。巡行当日には行われません。
公開する家と時間は、歩きながら見つける
屏風祭は一覧があって順に回るものではありません。公開するかどうか、何時まで開けるかは、旧家・老舗それぞれの判断です。
だから回り方は決まります。山鉾を見に歩いているついでに、格子の開いた家をのぞく。目的地として狙うより、宵山を歩く時間を長く取るほうが出会う数が増えます。
明るいうちのほうが中が見やすいので、山鉾の構造を見る時間帯とも重なります。夕方までに歩く範囲を広げておくのが効率的です。
各山鉾町で授与される護符と厄除け粽
宵山のもうひとつの目的がこれです。宵山ガイドによると、各山鉾の御神体にちなむ護符(ご札)は、前祭・後祭それぞれの宵山3日間だけ、各山鉾の周辺で売り出されます。
- 護符:山鉾によって意味や効果が異なる
- 厄除け粽(ちまき):食べ物ではない。門口など目に入りやすい場所に掲げ、翌年の祇園祭で新しい粽に取り替える
重要なのは授与が屋台ではなく各山鉾町の会所だということです。四条通の歩行者天国を歩いているだけでは買えません。目当ての山鉾の町まで行く必要があります。
そして屋台が出ない7月14日や後祭の宵山でも授与品は買えます。粽が目的なら、混雑の少ない日を選べます。買い方と飾り方は 祇園祭のちまき にまとめました。
何時に行くのがいいか
宵山は昼から山鉾が立っていますが、灯りが入るのは暗くなってからです。歩行者天国は18時頃から。この2つの時刻が行動を決めます。
18時が分かれ目|明るいうちに山鉾、暗くなってから提灯
- 昼〜夕方:山鉾の構造を見る。屋根の上の真木・鉾頭か真松かを確認できる。各山鉾町の会所で授与品も買える。屏風祭も見やすい
- 18時前:歩行者天国の区間へ移動しておく(15日・16日)
- 18時〜:歩行者天国。屋台が出る。左側通行で流れに乗る
- 暗くなってから:駒形提灯に灯りが入る。祇園囃子が流れる
- 23時頃:規制が解除される
要点は「構造は明るいうちに、雰囲気は暗くなってから」です。逆の順番にすると、屋根の上が暗くて見えず、山鉾を見る時間が混雑の中に入ります。山鉾の見分け方は 祇園祭の山鉾一覧 にまとめました。
混雑を避ける回り方
混雑の差は日によって大きく変わります。
| 日 | 混雑 | 特徴 |
|---|---|---|
| 7月14日 | 軽い | 山鉾は建っている。屋台と歩行者天国はない |
| 7月15日 | 重い | 屋台と歩行者天国がある |
| 7月16日 | 最も重い | 翌日が巡行。屋台と歩行者天国がある |
| 7月21〜23日(後祭) | 軽い | 山鉾11基。屋台も歩行者天国もない |
後祭の宵山は規制も屋台もない
混雑を避けたいなら後祭の宵山(7月21〜23日)が最も効きます。山鉾は11基で前祭の半分以下、屋台も歩行者天国もありません。
そのぶん屋台はないので、何を目的にするかで選ぶことになります。山鉾と町の空気を落ち着いて見たいなら後祭、祭の濃さを体験したいなら前祭の16日です。前祭と後祭の違いは 祇園祭の前祭と後祭の違い で比べています。
宵山ガイドは熱中症対策を求めていて、会場にはマイボトル用給水機、エコステーション、子どもステーション、交番、喫煙場所があり、全ての山鉾町にAEDが設置されます。路上喫煙には過料が科されます。7月の京都は夜も暑いので、暑さ対策は必須です(暑さ対策グッズ)。
よくある質問
Q. 宵山はいつですか?
A. 年に2回あります。前祭が7月14〜16日、後祭が7月21〜23日です。日付は毎年固定です。
Q. 2027年の宵々山はいつですか?
A. 慣習的な呼び分けでは、巡行前日の7月16日が宵山、2日前の7月15日が宵々山、3日前の7月14日が宵々々山です。2027年は7月15日が木曜、16日が金曜になります。
Q. 宵山はいつからいつまでですか?
A. 前祭が7月14日から16日まで、後祭が7月21日から23日までの各3日間です。歩行者天国と屋台があるのは7月15日・16日の18時頃〜23時頃だけです。
Q. 宵山巡行とは何ですか?
A. 宵山と山鉾巡行は別の行事です。宵山は山鉾が町に立っている期間、山鉾巡行は山鉾が動く日(前祭7月17日・後祭7月24日の午前)です。山建て・鉾建てのあとに「曳き初め」という試し曳きがあり、これと混同されることがあります。
Q. 何時ごろが見ごろですか?
A. 山鉾の構造を見るなら明るいうちです。駒形提灯の灯りと祇園囃子を目的にするなら暗くなってから。歩行者天国は7月15日・16日の18時頃からです。
まとめ|宵山の押さえ方
- 宵山は年2回。前祭7月14〜16日、後祭7月21〜23日
- 宵山・宵々山・宵々々山は慣習的な呼び分け。公式の宵山ガイドは3日間をまとめて扱う。日付で確認する
- 宵山と山鉾巡行は別の行事。宵山の期間に山鉾は動かない
- 歩行者天国と屋台は7月15日・16日の18時頃〜23時頃だけ
- 祇園囃子は各山鉾に約30曲。楽器は鉦・太鼓・笛。囃子のある山鉾とない山鉾がある
- 護符と厄除け粽は各山鉾町の会所。屋台が出ない日でも買える
出かける前に確認すること
- 行く日が前祭か後祭か
- 屋台が目的なら7月15日か16日か
- 明るいうちに山鉾を見る計画になっているか
- 目当ての山鉾町の場所(授与品は会所で)
- 暑さ対策とマイボトル(給水機がある)
場所は 祇園祭の場所、交通規制は 祇園祭の交通規制、見どころは 祇園祭の見どころ も参考にしてください。
この記事の情報は2026年10月18日時点で、祇園祭宵山会議(京都府・京都市・八坂神社・祇園祭協賛会・祇園祭山鉾連合会ほか)の「祇園祭 宵山ガイド(WEB版)2026」、京都市観光協会の「祇園祭」「祇園祭に行こう」を確認したものです。宵々山・宵々々山は慣習的な呼び方で、公式資料は7月14〜16日を一括して宵山の期間として扱っています。
