祇園祭を山鉾だけ見て帰る人は多いですが、この祭の中心にあるのは神輿です。八坂神社は、山鉾について「神輿の渡御に先立って、都大路の清祓をしたとも考えられています」と説明しています。
神輿は三基。形も祀る神も担ぐ組織も違います。総勢1,600名が担ぎ、夜の街を動きます。この記事は、八坂神社が公開している神輿別のルートと時刻をもとに、どこで何を見られるかを並べます。
3分で説明すると
- 神輿は中御座・東御座・西御座の三基。形も祀る神も違う
- 担ぐのは総勢1,600名。三若・四若・錦の三つの神輿会が分担する
- 7月17日18時30分頃、八坂神社の石段下に三基が集結して差し上げ
- そのあと別々のルートで街を回り、21時から22時45分にかけて御旅所へ
- 神輿は7月18日から24日まで御旅所に留まる
- 7月24日17時頃に御旅所を出て、21時〜23時に八坂神社へ戻る(還幸祭)
- 前後に7月10日と28日の神輿洗式がある
祇園祭の主役は神輿|山鉾は露払い
八坂神社の説明では、山鉾は疫神を鎮めるための依り代です。鉦や笛、太鼓で囃すのも「荒ぶる疫神を鎮めるため」とされています。
そして「神輿の渡御に先立って、都大路の清祓をしたとも考えられています」と続きます。つまり山鉾巡行は、神輿が通る道を先に清める行事という位置づけです。
7月17日に山鉾巡行が午前、神幸祭が夕方にあるのはそのためです。順番が逆ではないのには理由があります。山鉾そのものについては 山と鉾の違い にまとめています。
三基の神輿|形も祀る神も違う
八坂神社の紹介によると、三基はそれぞれ別の神を祀り、屋根の飾りも形も違います。
中御座|六角形・三若神輿会
八坂神社の主祭神素戔嗚尊(すさのをのみこと)を祀ります。屋根に鳳凰をいただく六角形の神輿です。三若神輿会が奉仕します。
7月10日の神輿洗式で四条大橋まで舁かれるのは、この中御座です。
東御座|四角形・四若神輿会
素戔嗚尊の妻である櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)を祀ります。屋根に擬宝珠をいただく四角形の神輿です。四若神輿会が奉仕します。
三基のうち、屋根の上が鳳凰でないのはこの神輿だけです。見分けるならここです。
西御座|八角形・錦神輿会
素戔嗚尊の御子神である八柱御子神(やはしらのみこがみ)を祀ります。屋根に鳳凰をいただく八角形の神輿です。錦神輿会が奉仕します。
素戔嗚尊・櫛稲田姫命・八柱御子神は、八坂神社の祭神です。三基そろって一家族という構成になっています。
もう1基「東若御座」がある
八坂神社の神幸祭の巡行図には、三基のほかに東若御座が記載されています。四若神輿会が奉仕し、東御座とは別のルートで回ります。
「神輿は三基」と説明されますが、当日に動く列は4つです。
神輿の1か月|4つの行事
神輿に関わる行事は7月10日から28日まで続きます。
7月10日 20時|神輿洗式
18時の神輿洗奉告祭のあと、三基のうち二基を舞殿に据え、中御座だけを舁いて四条大橋まで行きます。列の前後を松明で照らす行列です。
橋の上で神輿を清め、20時30分頃に八坂神社へ戻り、三基の飾り付けにかかります。
使う水は当日の朝10時に用意されます。神用水清祓式で、四条大橋から汲み上げた鴨川の水をお祓いしたものです。
7月15日 20時|宵宮祭
神輿に神が入る日です。八坂神社の説明では「境内の灯を消し浄闇の内に舞殿に奉安の神輿に御神霊を遷し奉ります」。
この瞬間から、神輿はただの輿ではなくなります。照明を落とした境内で行われるため、祇園祭の中でも独特の雰囲気がある神事です。
7月17日 16時〜|神幸祭
神輿が八坂神社を出て、四条寺町の御旅所へ向かう日です。この記事の中心なので、次の章でルートごとに書きます。
7月24日 17時頃〜|還幸祭
御旅所から八坂神社へ帰る日です。八坂神社へ戻るのは21時から23時。祇園祭で最も遅くまで続く行事です。
7月28日 20時|神輿洗式
10日と同じ神事ですが、こちらは祭の締めです。神社に戻ったあと、神輿は神輿庫に収められます。これで神輿の神事は終わります。
神幸祭はどこを通るか|神輿別のルートと時刻
神幸祭の見どころは、神輿ごとに通る道も着く時刻も違うことです。八坂神社が公開している巡行図から抜き出します。
中御座(三若神輿会)|最も早く御旅所に着く
祇園石段下を18時35分に出発します。三基のうち最初です。
大和大路四条 → 大和大路三条 → 木屋町二条 → 寺町二条 → 市役所(19時35分) → 寺町三条 → 河原町四条 → 御旅所(21時00分)。
京都市役所の前を通るのはこの神輿だけです。19時35分に市役所と決まっているので、待ち伏せできます。
東御座(四若神輿会)|河原町を南北に動く
石段下を18時40分に出発。新橋東大路 → 有済校裏(19時35分) → 花見小路三条 → 河原町三条 → 河原町仏光寺折返し → 河原町四条で待機 → 御旅所(22時00分)。
「折返し」があるのが特徴です。河原町通を南へ下ってから戻ります。
東若御座(四若神輿会)|最も細かく町を回る
石段下を18時40分に出発。富永町 → 末吉町 → 大和大路新門前 → 新門前東大路 → 古門前花見小路通 → 有済校裏(19時35分)→ 花見小路三条 → 河原町三条 → 先斗町折返し → 河原町仏光寺折返し → 河原町四条で待機 → 御旅所(21時45分)。
祇園の細い路地を順に回る列です。先斗町の折返しがあります。
西御座(錦神輿会)|最後に御旅所へ入る
石段下を18時40分に出発。花見小路四条 → 川端団栗橋 → 川端四条 → 有済校(19時40分) → 大和大路三条 → 木屋町三条 → 木屋町二条 → 寺町二条 → 河原町三条 → 河原町四条 → 木屋町四条 → 木屋町松原 → 河原町松原 → 河原町四条で待機 → 御旅所(22時45分)。
最も長いルートで、御旅所に着くのは22時45分。四条河原町のあたりで待っていれば、22時台でもまだ神輿を見られます。
御旅所とは|商店街の中にある
神輿が7日間滞在する四条御旅所は、八坂神社の境外摂末社のひとつです。八坂神社の公式サイトにも、冠者殿社・又旅社・大政所社と並んで掲載されています。
ただし広い境内があるわけではなく、場所は四条寺町の商店街の中。四条通に面した一角です。「御旅所はどこか」で迷う人が多いのは、鳥居と参道のある神社を探してしまうからです。
7月18日から24日まで、神輿はここにいます。巡行の日を外して京都に行っても、御旅所に行けば神輿を見られる期間があるということです。
還幸祭|深夜まで続く帰り道
7月24日の夕方、神輿は御旅所を出ます。
- 17時頃|四条御旅所を三基が出発
- 夜|八坂神社又旅社で祭典。そのあと神輿に灯を入れる
- 21時〜23時|八坂神社へ還幸。御神霊を本殿に還す
還幸祭の前日(7月23日14時)には、又旅社でオハケ清祓式があります。四隅に斎竹を立てた巾7尺・奥行2尺の芝に、御幣を3本立てる神事です。神輿を迎える準備になります。
神幸祭と違って、還幸祭は寺町通より西の区域を回ります。行きと帰りで通る場所が違います。
山鉾巡行との関係|なぜ巡行が先なのか
7月17日は、午前9時に山鉾巡行、夕方16時から神幸祭です。この順番には理由があります。
八坂神社は、山鉾について「神輿の渡御に先立って、都大路の清祓をしたとも考えられています」と書いています。山鉾が道を清めてから、神輿が通るという構造です。
7月24日も同じで、午前に後祭巡行、夕方に還幸祭です。どちらの日も、山鉾が先・神輿が後になっています。
山鉾は町衆が出すもの、神輿は八坂神社の神事。主体が違うふたつが、同じ日に組み合わさっているのが祇園祭です。成り立ちは 祇園祭とは にまとめています。
どこで見るのがいいか
神輿を見る場所は、目的によって3つに分かれます。
- 石段下の差し上げ|7月17日18時30分頃。三基が八坂神社の正面に集結する。最も人が多い
- ルートの途中|神輿ごとに時刻が決まっているので待ち伏せできる。市役所前(中御座・19時35分)、有済校裏(東御座・19時35分)など
- 御旅所|21時から22時45分にかけて四基が順に入る。最後の西御座まで見るなら23時近くになる
18時30分の差し上げを見てから、四条通を西へ歩いて御旅所で待つ——これが一番無駄のない動き方です。八坂神社は阪急京都河原町駅から徒歩約8分の位置で、御旅所は四条寺町。四条通を西へ歩いて15分ほどの距離です。場所の関係は 祇園祭はどこで見るか を見てください。
よくある質問
Q. 神輿渡御は何時からですか
7月17日の神幸祭は16時に八坂神社で祭典が始まり、18時に神輿渡御出発式(石段下で差し上げ)、18時35分から順に出発します。7月24日の還幸祭は17時頃に御旅所を出発します。
Q. 御旅所はどこですか
四条寺町の商店街の中です。四条通に面しています。八坂神社の境外摂末社ですが、鳥居と参道のある神社の形はしていません。
Q. 一番盛り上がる日はいつですか
神輿でいえば7月17日の夕方から夜です。石段下の差し上げと、御旅所への到着が同じ日にあります。
Q. 八坂神社の神輿は何基ですか
三基です。ただし神幸祭の巡行図には東若御座を加えた4列が記載されています。
Q. 神輿は何人で担ぐのですか
八坂神社は神幸祭・還幸祭について「総勢1,600名が神輿を担いで渡御する」と書いています。三若・四若・錦の三つの神輿会が分担します。
Q. 雨でも神輿は出ますか
神幸祭・還幸祭は神事なので行われます。ただし進行が遅れることはあります。時刻は 祇園祭は何時まで で確認してください。
まとめ|神輿を見るなら
- 7月10日 20時|神輿洗式(中御座が四条大橋へ。松明の行列)
- 7月15日 20時|宵宮祭(境内の灯を消して御神霊を遷す)
- 7月17日 18時30分頃|石段下で三基の差し上げ
- 7月17日 21時〜22時45分|四基が順に御旅所へ
- 7月18日〜24日|神輿は御旅所に滞在
- 7月24日 17時〜23時|還幸祭
- 7月28日 20時|神輿洗式(終わると神輿庫へ)
日程全体は 祇園祭の日程、神輿に供奉する久世駒形稚児については 祇園祭のお稚児さん も参考にしてください。
神輿は夜の行事です。17日は21時を過ぎても動いていて、最後の西御座が御旅所に入るのは22時45分。市内に泊まる前提で組むほうが最後まで見られます。
この記事の情報は2026年10月19日時点で、八坂神社の「祇園祭」「祇園祭の神事・行事」「神輿・山鉾のご紹介、巡行図」を確認したものです。神輿の到着時刻は目安で、当日の進行によって前後します。
