長崎くんちで最も沸く瞬間がコッコデショです。子どもを乗せたまま宙に放り上げて、片手で受け止めるという演し物です。
正式には「太皷山(たいこやま)」という名前があり、コッコデショはその別名です。由来は中国でも長崎でもなく大阪の堺。この記事は長崎市の文化財課の資料から、仕組みと由来を整理します。
3分で説明すると
- 正式には「太皷山」。コッコデショは別名で、演し物の分類は「担ぎ物」
- ★担ぎ手36名で2班。組織全体は役員30名・総指揮者1名
- ★屋根に大きな座布団を5枚積み重ね、4名の太鼓打ちが座る
- ★見せ場は上下に揺さぶって高く放り上げ、片手で受け止める
- 由来は堺(大阪)の「段尻」。樺島町が堺の船頭の定宿だった縁で伝わった
- ★初めて奉納されたのは1799年(寛政11年)
- 7年に一度しか回ってこない。2026年は上町が出した
コッコデショとは何か
主催者の長崎伝統芸能振興会の「ミニ辞典」では、長崎くんちの演し物は踊り・曳物・担ぎ物・通り物の4つに分けられます。コッコデショはこのうち「担ぎ物」です。
そして「担ぎ物の一つ『太皷山』の別名」とされています。「大勢で担いで回すほか、宙に放り上げて片手で受け止める技もある」という説明です。
長崎県の文化財データベースも、長崎くんちの代表的な演し物として龍踊・龍船/唐人船/鯨引/太鼓山(コッコデショ)の4つを挙げています。
太鼓山の仕組み
長崎市の文化財課が公開している樺島町コッコデショの仕様です。
屋根に座布団5枚と太鼓打ち4名
太鼓山は屋根に大きな座布団を5枚積み重ねた形で、4名の太鼓打ちが座ります。
つまり放り上げられるのは太鼓山と、その上の4人です。座布団5枚は見た目の飾りではなく、上に人が座るためのものだということになります。
担ぎ手は36名で2班
担ぎ手は36名で、2班に分かれています。交代しながら担ぐ形です。
組織全体の内訳も公開されています。
| 役 | 人数 |
|---|---|
| 会長ほか役員 | 30名 |
| 総指揮者 | 1名 |
| 棒先 | 8名 |
| 釆振り | 4名 |
| 太鼓山 | 8名 |
| 長采 | 3名 |
担ぎ手36名を動かすのに、総指揮者が1名。放り上げて片手で受け止めるので、タイミングを合わせる指揮が要ります。
重さは公表されていない
太鼓山の重さは長崎市のページに記載がありません。
分かるのは構成だけです。太鼓山本体+座布団5枚+太鼓打ち4名を、36名が2班で担ぐ。重さを知りたい場合は長崎市文化財課(095-829-1193)で確認できます。
「コッコデショ」の意味
これが最も聞かれる点です。
語の意味は公的に書かれていない
「コッコデショ」という語の意味を説明した記述は見つかりませんでした。 長崎市の文化財課のページにも、振興会の「ミニ辞典」にもありません。
書かれているのは「担ぎ物の一つ『太皷山』の別名」ということだけです。
掛け声は動作ごとに変わる
長崎市の資料が書いているのは掛け声の使われ方のほうです。掛け声は動作ごとに使い分けられていて、次の場面で変わります。
- 太鼓山を左右にゆらしながら入場する場面
- 後退する場面
- 走る場面
- 上下に揺さぶって高く放り上げ、片手で受け止める場面
- 回転させて上げる場面
つまりコッコデショは「ひとつの掛け声」ではなく、動作ごとに声が変わるということです。現地で聞くと、同じ声が続いているわけではないのが分かります。
観客がかける掛け声
演者の掛け声とは別に、観客側の掛け声があります。「ミニ辞典」に意味が載っています。
| 掛け声 | 意味 |
|---|---|
| モッテコーイ | 退場した曳物などを呼び戻す、アンコール |
| ショモーヤレ | アンコール |
| フトーマワレ | 大きく回れ |
| ヨイヤァ | やったぞ |
コッコデショが退場しようとすると「モッテコーイ」がかかります。観客が声をかけると戻ってくるのがこの祭の形です。
そして放り上げて受け止めた瞬間に「ヨイヤァ」。意味は「やったぞ」です。
由来は大阪の堺
長崎くんちの演し物には中国やオランダ由来のものが多いのですが、コッコデショは違います。
貿易の物流が運んできた
長崎市の資料によると、江戸時代、長崎の貿易品の多くは堺や大阪の船で上方へ運ばれていました。そして樺島町は堺の船頭の定宿だった。その縁から堺地方の「段尻」が伝わったとされています。
つまり貿易の物流が運んできた芸能です。唐人屋敷から伝わった龍踊とは、入ってきた経路が違います。
1799年に初めて奉納された
長崎くんちに初めて奉納されたのは1799年(寛政11年)です。 以来、くんちで特に人気の高い出し物の一つになったと長崎市は書いています。
どの踊町が出すか
長崎市が文化財として扱っているのは樺島町コッコデショです。ただし出すのはこの町だけではありません。
2026年(令和8年)は上町が「傘鉾・上町コッコデショ」で出しました。演し物一覧に町名付きで「上町コッコデショ」と書かれています。
長崎市の文化財には式見里コッコデショと矢上町コッコデシヨもあります。市内に複数の系統があるということです。
なぜ7年に一度しか見られないのか
踊町の仕組みのためです。振興会の「長崎くんちとは」にこうあります。
「現在、長崎市内には58の踊町があり、7つの組に区分されています。奉納踊を出す当番は7年に一度回ってきます」
58町を7組に分け、1組ずつ毎年出る。だからコッコデショを出す町が回ってくるのは7年に一度です。
この仕組みは古くからあります。長崎県の文化財データベースによると、延宝元年(1673年)以降、丸山町と寄合町を除く各町が7年に1回の割合で奉納踊を出す形になりました。350年以上続く輪番です。
振興会は令和8年から令和14年までの7年分の出演町を公開しています。2027年(令和9年)の7ヶ町にコッコデショはありません(馬町=本踊、東濵町=竜宮船、八坂町=川船、銅座町=南蛮船、築町=御座船・本踊、湊町・広馬場町は未掲載)。
→ 長崎くんちの踊町一覧2027|7年に1度の輪番と出し物の違い
どこで見るのが一番いいか
上演場所は諏訪神社境内・お旅所(大波止)・中央公園・八坂神社の4つです。
放り上げる演し物なので、見上げる角度が効きます。
間近で見るなら八坂神社
「踊場と観覧席が近く、迫力のある演技を間近で見られる」と案内されている会場です。桟敷席は1桝4人掛けでS席30,000円・A席28,000円・B席26,000円(2026年)。
1人で行くなら中央公園
1人単位で買える唯一の会場です。砂かぶり椅子席7,000円/スタンドS席6,500円/スタンドA席4,500円。砂かぶり席は踊場近くのパイプ椅子で、スタンドは段差のあるベンチシートです。放り上げを正面から見るならスタンド、音と圧を受けるなら砂かぶりという選び方になります。
諏訪神社とお旅所
諏訪神社は1桝4人掛けでS席36,000円〜C席18,000円。立見席は当日発売で1人1,500円。正面の長坂は無料ですが事前応募・抽選です。
お旅所|1桝4人掛けでS席24,000円・A席22,000円・B席20,000円(布団付)。長崎港沿いの平地で、周辺に露店が並びます。
→ 長崎くんちの桟敷席2027|4つの踊場の位置・料金・座席表
無料で見られるか
庭先回りがあります。各踊町は所定の踊場を済ませたあと、市内中心部の事業所・官公庁・民家などを訪ね、踊りやお囃子を玄関先や店先で披露して福を分けます。これは無料です。
ただし玄関先や店先なので、放り上げる演技が踊場と同じ形でできるとは限りません。
場所と時間は庭先回りマップ(9月末ごろ配布・長崎駅の観光案内所など)と、「長崎くんちナビ」(演し物の現在位置が分かる)で追えます。
諏訪神社の長坂も無料ですが、事前応募・抽選制の「長坂整理券」が要ります。
見る前に知っておくこと
3つあります。
1|奉納は各町30分。 踊町の奉納時間は各町30分、6町全体で3時間の予定とされています。コッコデショだけを見るなら30分です。
2|朝7時台から始まる。 2026年の諏訪神社は前日が7:00から。前泊が前提になります。
3|観覧券は踊場ごとに別売り。 販売日も違います。2026年は諏訪神社と八坂神社が6月上旬、お旅所が7月中旬、中央公園が8月上旬。販売・運営・払い戻しも各踊場が独自です。
コッコデショを出す町が回ってくる年が最初の条件です。年が決まれば日程は10月7日〜9日で固定、朝7時台から動くので前泊が要ります。観覧券の販売は6月からですが、宿はそれより先に押さえられます。
よくある質問
Q. コッコデショとはどういう意味ですか
語の意味を説明した記述は見つかりませんでした。書かれているのは「担ぎ物の一つ『太皷山』の別名」ということだけです。
Q. 掛け声は何ですか
演者の掛け声は動作ごとに使い分けられています(入場・後退・走る・放り上げる・回転させる)。観客側は「モッテコーイ」(アンコール)、「ショモーヤレ」(アンコール)、「フトーマワレ」(大きく回れ)、「ヨイヤァ」(やったぞ)です。
Q. 何人で担ぎますか
担ぎ手は36名で2班に分かれています。組織全体は会長ほか役員30名と総指揮者1名で、棒先8名・釆振り4名・太鼓山8名・長采3名という内訳です。
Q. 太鼓山の重さはどれくらいですか
長崎市のページに記載がありません。屋根に大きな座布団を5枚積み重ね、4名の太鼓打ちが座る構成です。
Q. コッコデショはいつ見られますか
10月7日〜9日ですが、出す町が回ってくる年に限られます。7年に一度です。2026年は上町が出しました。
Q. 有名な踊りは何ですか
長崎県の文化財データベースが挙げているのは龍踊・龍船、唐人船、鯨引、太鼓山(コッコデショ)です。
Q. おくんちの桟敷席はどこにありますか
諏訪神社・お旅所・八坂神社・中央公園の4つです。1人単位で買えるのは中央公園(4,500円〜)と、諏訪神社の当日立見席(1,500円)だけです。
まとめ|コッコデショの要点
- 正式には「太皷山」。分類は「担ぎ物」。コッコデショは別名
- ★担ぎ手36名で2班。総指揮者1名。棒先8・釆振り4・太鼓山8・長采3
- ★屋根に座布団5枚と太鼓打ち4名。これごと放り上げて片手で受け止める
- ★重さは公的な資料に記載がない
- 由来は堺の「段尻」。樺島町が堺の船頭の定宿だった縁。1799年に初奉納
- ★「コッコデショ」の語の意味を説明した公的な記述はない
- 掛け声は動作ごとに変わる。観客はモッテコーイ/ヨイヤァ
- 7年に一度(58町・7組の輪番。延宝元年=1673年以降)
放り上げの瞬間を正面から見たいならスタンド、音と圧を受けたいなら砂かぶりです。どちらも中央公園なら1人単位で買えます。まずは前泊できる宿を押さえるところからです。
→ 長崎くんち2027のスケジュール|3日間の違いと時刻表の読み方
→ 長崎くんちの龍踊りとは|龍の大きさと人数・見る場所
この記事の情報は2026年10月20日時点で、長崎市文化財課の「樺島町コッコデショ」、長崎県文化財データベース「長崎くんちの奉納踊」、長崎くんち公式サイト(長崎伝統芸能振興会)の「長崎くんちとは」「踊町と演し物」「どこで観られる?」「観覧券のご案内」「ミニ辞典」を確認したものです。観覧券の料金は令和8年(2026年)販売分で、2027年は各踊場の発表をご確認ください。
