「竿燈」は「かんとう」と読みます。
そして、この祭を一度でも見た人が必ず驚くのが重さです。いちばん大きい大若は竿の長さ12m、重さ50kg、提灯46個。これを差し手が体のどこか一点で支えます。
3分で説明すると
- 読み方は「かんとう」
- 大若|竿12m・50kg・提灯46個。中若9m・30kg、小若7m・15kg、幼若5m・5kg
- ★技は流し・平手・額・肩・腰の5つ。腰がクライマックスとされる
- ★肩が最も早く覚えられる技、腰は修練が必要と公式が書いている
- ★起源は夏の眠気を払う「ねぶり流し」。短冊を飾って町を練り歩き、最後に川に流していた
- ★最古の文献は寛政元年(1789年)の津村淙庵「雪の降る道」
- 宝暦年間に蝋燭が普及し、お盆の高灯籠と組み合わさって独自の行事になった
- 国の重要無形民俗文化財。竿燈約280本・提灯約10,000個・38町内
- ★囃子は2種類ある(町を練り歩く「流し囃子」と演技中の「本囃子」)
- ★祭以外の時期も、秋田市民俗芸能伝承館の定期公演(入館料130円)で見られる
読み方は「かんとう」
「かんとう」です。関東地方と同じ音ですが、字が違います。
正式名称は「秋田竿燈まつり」。国の指定では「秋田の竿燈」という名称になっています。
「竿燈」という字
竿は、竹のさお。燈は、ともしび。字のとおり「さおに吊るした灯り」です。
字の由来を説明した公式の記述はない
なぜこの2文字が選ばれたのか、いつから「竿燈」と書くようになったのかについて、秋田竿燈まつり公式にも秋田市にも記載がありません。
公式が書いているのは、古い記録に「ねぶりながし」として出てくること、そして竿に多くの灯火を付けて太鼓を打ちながら町を練り歩いていたという様子です。字よりも先に、形がありました。
竿燈とはどんなものか
竹竿に提灯を吊るし、稲穂の形に組んだものです。全体が一本の稲穂に見えるよう作られています。
4つのサイズがある
| 種類 | 竿の長さ | 重さ | 提灯の大きさ | 提灯の数 |
|---|---|---|---|---|
| 大若 | 12m | 50kg | 64×45cm | 46 |
| 中若 | 9m | 30kg | 48×36cm | 46 |
| 小若 | 7m | 15kg | 48×36cm | 24 |
| 幼若 | 5m | 5kg | 30×21cm | 24 |
注目したいのは中若です。竿は9mと短いのに、提灯の数は大若と同じ46個。提灯が1枚ずつ小さくなっているぶん、密度が上がっています。
祭全体では竿燈 約280本、提灯 約10,000個。38町内が参加し、企業・学校を含めると70団体を超えます。
継竹で高くしていく
最初から12mで立てるわけではありません。演技の途中で継竹(つぎたけ)を足して、だんだん高くしていきます。
これが技の定義にも表れています。「流し」は、次の差し手が継竹を継ぎやすいように支える技——と公式は説明しています。5つの技のうち1つが、継ぎ足しのための技なのです。
差し手が支える5つの技
公式が挙げる技は流し・平手・額・肩・腰の5つです。
流しと平手
| 技 | 内容 |
|---|---|
| 流し | ★次の差し手が継竹を継ぎやすいように支える技 |
| 平手 | 高くかざして見せる基本技。添え手でバランスを取る |
流しは「渡すための技」、平手は「見せるための技」です。どちらも手で支えます。
額・肩・腰
| 技 | 内容 |
|---|---|
| 額 | 額で竿を支える。両手を開き、足腰を踏ん張る |
| 肩 | ★最も早く覚えられる技。利き腕を伸ばし、肩に降ろす |
| 腰 | ★修練が必要な派手な技。熟練者は扇子で仰ぎながら差すこともあり、★竿燈のクライマックスとされる |
公式が難易度の差をはっきり書いているのが、この3つです。肩がいちばん易しく、腰がいちばん難しい。
見るときの手がかりになります。手 → 額 → 肩 → 腰と支える場所が下がっていくほど、竿を見る余裕が減ります。腰で支えながら扇子で仰いでいる差し手がいたら、それがその場のいちばん上手い人です。
昼の竿燈妙技会では、この技が審査されます。基準は型の美しさ、安定性、両手を竿にかけないことなど。妙技会の日程は 日程と場所の記事 にまとめました。
何を願う祭か
起源は「ねぶり流し」です。
秋田市の説明では、全国で行われてきた「眠り流し」(夏の睡魔を払い流す行事)のひとつが起源だとされています。
短冊を飾って町を練り歩き、川に流していた
公式の説明は具体的です。藩政以前から秋田市周辺にあった行事で、笹竹や合歓木(ねむのき)に願い事を書いた短冊を飾って町を練り歩き、最後に川に流していた——とされています。
合歓木は、夜になると葉を閉じる木です。「眠る木」に眠気を託して流すという発想が元にあります。
高灯籠と七夕が結びついた
ここから現在の形になる過程も書かれています。
- ★宝暦年間に蝋燭が普及した
- お盆に門前に掲げた高灯籠などが組み合わさった
- 秋田市は、さらに笹竹に灯籠や短冊を付けて川に流す七夕行事と結びつき、豊作祈願とも関連して江戸時代中期に始まったとしている
つまり竿燈は「眠気払い」「七夕」「盆の灯り」「豊作祈願」が重なってできた行事です。提灯が稲穂の形に組まれているのは、この豊作祈願の側面と結びつきます。
いつから続いているか
宝暦年間に原型ができたとされています。
最古の記録は寛政元年(1789年)
★現存する最古の文献は、寛政元年(1789年)の津村淙庵(つむらそうあん)の紀行文「雪の降る道」です。ここに陰暦7月6日のねぶりながしが紹介されています。
注目すべきは中身です。この時点ですでに秋田独自の風俗として伝えられており、竿に多くの灯火を付けて太鼓を打ちながら町を練り歩く様子が記されています。
つまり230年以上前の記録に、すでに今とほぼ同じ形が書かれているということになります。秋田市の観光案内は、これを秋田藩久保田城下の町民によって受け継がれてきたと説明しています。
ねぶた・七夕との関係
竿燈は東北三大祭りのひとつに数えられます。日程も隣り合っています。
| 祭 | 日程 |
|---|---|
| 青森ねぶた祭 | 8月2日〜7日 |
| 秋田竿燈まつり | 8月3日〜6日 |
| 仙台七夕まつり | 8月上旬 |
共通しているのは旧暦7月の盆の行事だという点です。竿燈の起源とされる「ねぶり流し」と、青森の「ねぶた」は、名前そのものが近い言葉です。
どちらも夏の眠気や邪気を灯りに託して流すという発想から出ています。灯りを担いで町を練り歩くという形が共通しているのは、そのためです。
囃子は2種類ある
見落とされやすい点です。★竿燈囃子には「流し囃子」と「本囃子」の2種類があります。
- 流し囃子|町を練り歩く際の囃子
- 本囃子|演技中の囃子
公式は「太鼓と笛の音がまつりの訪れを告げる」と書いています。会場に着く前から囃子が聞こえてくるのは、流し囃子のほうです。
妙技会では囃子方も審査対象で、基準は太鼓のリズム、笛の音色など。競技区分にも「小若囃子方」「囃子方」という枠があります。囃子は添え物ではなく、競技の一部です。
掛け声について公式は書いていない
竿燈の掛け声としてよく知られる言葉がありますが、★掛け声についての記載は、秋田竿燈まつり公式にも秋田市のページにもありません。
公式が技・サイズ・歴史・囃子を細かく書いているのに対し、掛け声だけは説明されていない——というのが確認できた事実です。
重要無形民俗文化財
竿燈は国の重要無形民俗文化財に指定されています。名称は「秋田の竿燈」です。
★指定の年月日については、確認したページのいずれにも記載がありませんでした。秋田市の指定文化財一覧は、個別の物件を添付ファイルで示す形になっています。
祭以外の時期に見る方法
8月3〜6日に行けなくても、竿燈は見られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 竿燈定期公演 | ★4月4日〜10月31日の土曜・日曜・祝日(令和8年度。8月1日・2日は開催しない) |
| 時間 | 13:30〜14:10頃 |
| 会場 | 秋田市民俗芸能伝承館 1階展示ホール(秋田市大町一丁目3番30号) |
| 料金 | ★入館料130円のみ。高校生以下は無料 |
| 出演 | 秋田市竿燈会の会員 |
★原則立ち見(からだの不自由な方・高齢の方を除く)で、混雑時は展示ホールに入れない場合があります。130円で、本番と同じ会の人が差す竿燈を見られるというのは、かなり特殊な条件です。
知ってから見ると何が違うか
3つ変わります。
- 支える場所を見るようになる|手 → 額 → 肩 → 腰。腰で扇子を使っていればその場の最上級
- 継竹の瞬間を待てる|「流し」で受け、継ぎ足して高くする。この受け渡しが演技の節目になる
- 稲穂に見えてくる|豊作祈願が起源に含まれる。提灯10,000個が揺れる形は稲穂を模したもの
竿燈は約280本が一斉に上がる祭です。全体の光景と、1本の差し手の動き。この2つを行き来できるようになると、同じ2時間の見え方が変わります。
よくある質問
「竿燈」とはどういう意味ですか
読み方は「かんとう」。竿=竹のさお、燈=ともしびで、「さおに吊るした灯り」という字面です。ただしこの字が選ばれた由来についての記述は、公式にありません。古い記録では「ねぶりながし」として出てきます。
何を願うのですか
★夏の眠気と邪気を払うことが元です。笹竹や合歓木に願い事を書いた短冊を飾って町を練り歩き、最後に川に流していた行事が起源とされています。そこに七夕行事、お盆の高灯籠、豊作祈願が結びついて現在の形になりました。
見どころは何ですか
★腰の技です。公式が竿燈のクライマックスとしています。熟練者は腰で支えながら扇子で仰ぎます。あわせて継竹で竿を継ぎ足して高くしていく場面と、終盤のふれあい竿燈(20:25または20:35)——竿燈の写真撮影や体験ができる時間——も見どころです。
ホテルが取れない場合、どうすればいいですか
竿燈は21時終了・交通規制解除21時30分なので、秋田駅から在来線で通える範囲まで広げられます。泊まる日を1日ずらすのも有効です。詳しくは 竿燈まつりのホテル にまとめました。
一番重い竿燈はどれくらいですか
大若で50kg、竿の長さは12m、提灯は46個です。これを差し手が手のひら・額・肩・腰のいずれか一点で支えます。
まとめ|竿燈とは何か
- 読み方は「かんとう」。国の指定名称は「秋田の竿燈」
- 大若|12m・50kg・提灯46個。中若は竿9mでも提灯は46個
- ★技は流し・平手・額・肩・腰の5つ。肩が最も易しく、腰がクライマックス
- ★「流し」は継竹を継ぎやすくするための技
- ★起源は「ねぶり流し」。短冊を飾って練り歩き、川に流していた
- 宝暦年間に蝋燭が普及し、高灯籠・七夕・豊作祈願と結びついた
- ★最古の文献は寛政元年(1789年)の津村淙庵「雪の降る道」
- ★囃子は流し囃子と本囃子の2種類。妙技会では囃子方も審査される
- ★掛け声についての記載は公式にない
- 国の重要無形民俗文化財。指定年月日は確認したページに記載なし
- ★秋田市民俗芸能伝承館の定期公演なら入館料130円で見られる
この記事の情報は2026年10月26日時点のものです。秋田竿燈まつり公式の「竿燈まつりについて」「よくあるご質問」「妙技大会優勝者」と、秋田市公式の「秋田市の民俗芸能について」「竿燈定期公演」「秋田市所在指定文化財一覧」、秋田市の観光案内サイトの「秋田竿燈まつり」を確認しました。「竿燈」という字が選ばれた由来、掛け声、国の重要無形民俗文化財の指定年月日については、確認したページのいずれにも記載がありませんでした。定期公演の内容は令和8年度のものです。
