木落し(きおとし)は、急斜面の上から御柱を落とす行事です。御柱祭でいちばん知られている場面がこれです。
ただし上社と下社で坂が違い、行われる日数も違います。そして前回2022年は、木落しそのものが行われませんでした。
3分で説明すると
- 木落しは山出し(4月)の山場。里曳き(5月)にはない
- ★上社|木落し坂の斜度27度。山出しの2日目
- ★下社|木落し坂は最大斜度35度・約100m。山出し初日から3日間
- ★上社にはめどでこがあり、氏子が鈴なりに跨って落ちる。下社にはめどでこがない
- 2028年の山出しは上社4月1〜3日、下社4月8〜10日
- ★2022年は曳行が車両運搬に切り替わり、木落しは実施されなかった
- ★2028年は人力曳行と木落しを実施する方針。実施されれば2016年以来12年ぶり
- 2022年の下社の有料観覧席は砥川河川敷(木落し坂下)で、イープラスの抽選だった
- ★木落しの開始時刻は公式に記載がない
- ★一般の人は曳行に参加できない(氏子の祭)
木落しとは何か
山から伐り出した御柱を、急斜面の上から一気に滑り落とす行事です。
御柱は樅(もみ)の巨木。大きさは出典で差がありますが、諏訪大社は長さ17m近く・重さ約13t、御柱祭の公式サイトは長さ約19m・直径約1m・重さ約7.5tとしています。いずれにせよ数トンの丸太です。
これを車やコロを使わず、人力だけで曳いてきて、坂の上から落とします。1本を曳くのは1,000〜3,000人とされています。
木落しは山出しの行事です。5月の里曳きにはありません。
どこで行われるか
上社と下社に、それぞれ別の木落し坂があります。
上社の木落し坂
★斜度27度。上社の山出しは綱置場(八ヶ岳の麓、標高1300m)を出発し、穴山の大曲という第一の難所を抜けた先に木落し坂があります。
穴山の大曲は狭く屈折した道で、民家の軒先をめどでこが通る場所です。木落しの前に、すでに見どころがあります。
下社の木落し坂
★最大斜度35度、約100m続く急斜面です。下社の山出しは棚木場(東俣渓谷沿い)を綱渡神事で出発し、萩倉の大曲(大きなカーブで全体が見渡せない難所)を経て進みます。
下社の木落しは曳行開始と同じ順番で行われ、秋宮一の柱が最後を飾ります。
上社と下社で何が違うか
| 項目 | 上社 | 下社 |
|---|---|---|
| 坂 | 斜度27度 | ★最大斜度35度・約100m |
| いつ | 山出しの2日目 | ★山出し初日から3日間 |
| めどでこ | ★あり | ★なし |
| 柱の重さ | 御柱年の3月に伐採 | 1年前に伐採。乾燥期間があるため上社より軽いといわれる |
| 川越し | あり(宮川) | 記載なし |
坂の急さは下社が上
★上社27度に対し、下社は最大35度。しかも約100m続きます。写真で見る「崖のような坂」は下社のほうです。
回数は下社のほうが多い
★上社の木落しは山出しの2日目です(御柱祭公式のよくある質問は「2日目と3日目」としており、山出しのページの記述と差があります)。下社は山出し初日から3日間行われます。
つまり日程の自由度は下社のほうが高いということになります。
めどでこに人が乗るのは上社だけ
★めどでこは上社にしかありません。柱の前後から角のように突き出す部分で、氏子が鈴なりに跨り、おんべを振って士気を高めます。
下社の柱にはめどでこがないため、見た目が大きく違います。人が乗った柱が落ちていく光景は上社のものです。
初めて見るならどちらか
公式はどちらを勧めるとは書いていません。判断材料になるのは、ここまでの事実です。
| 向いている条件 | |
|---|---|
| 上社 | めどでこに人が乗った柱を見たい/同じ山出しで川越しも見たい/穴山の大曲を見たい |
| 下社 | 坂の急さを見たい(最大35度・約100m)/3日間あるので日程を合わせやすい/過去に木落し坂下に有料観覧席が設けられた実績がある |
2028年の日程は上社の山出しが4月1〜3日、下社が4月8〜10日で1週間ずれています。両方行くこともできます。日程の全体像は 御柱祭の次回はいつか にまとめました。
いつ行われるか
次回は2028年の山出しです。
| 社 | 山出し | 木落しの日 |
|---|---|---|
| 上社 | 4月1日(土)〜3日(月) | 2日目=4月2日(日) |
| 下社 | 4月8日(土)〜10日(月) | 3日間とも |
★山出しは上社・下社とも土日月の並びです。土日で見る行程は作りやすいことになります。
何時からかは公表されていない
★木落しの開始時刻についての記載は、諏訪大社にも御柱祭の公式サイトにもありません。
分かっているのは、山出しが出発の神事のあと、木遣り衆の声を合図に始まること、3日目の日暮れに注連掛へ到着して終わることです。
参考になるのは2022年の下社の有料観覧席で、各日8:00〜18:00(10日は7:00〜18:00)という設定でした。朝から夕方までの長い行事のなかで木落しが行われる、という構造です。
どこから見るか
選択肢は有料観覧席と、それ以外です。
2022年の下社山出しでは、下諏訪町 砥川河川敷(木落し坂下)に有料観覧席が設けられました(曳行中止にともない運営中止)。
| 席種 | 1日あたりの座数 | 料金(税込) |
|---|---|---|
| SS席 | 300席 | 26,000円 |
| S席 | 800席 | 23,000円 |
| A席 | 100席 | 20,000円 |
| B席 | 400席 | 17,000円 |
| 車いす席 | 30席 | 17,000円 |
★無料で見られる場所、駐車場、交通規制については、御柱祭の公式サイトのよくある質問に記載がありません。問い合わせ先として諏訪地方観光連盟 御柱祭観光情報センター(0266-58-1123)が案内されています。
観覧席のチケットはいつから売られるか
2028年分は未発表です。2022年の流れは次のとおりでした。
- 申込受付|2月5日(土)10:00 〜 2月27日(日)23:59
- 抽選|2月28日(月)。結果は3月1日以降にメール
- ★インターネット申込み(イープラス)。会員登録が必要
- ★応募多数の場合は抽選。1日につき同席種5枚まで。支払いはクレジットカードのみ
- 配送料1,100円のほか、入金・発券等の販売手数料がかかる
- 問い合わせ|下諏訪町御柱祭実行委員会事務局(下諏訪町産業振興課内)0266-78-9066
★祭の約2か月前に受付が始まり、抽選だったということです。宿のほうが先に動くことになります。
上社は「川越し」とセットで見られる
上社の山出しには、木落しのあとにもう一つの山場があります。
★宮川の川越しは、山出し最後の難所とされています。水温10度以下の川を渡り、御柱を宮川の雪解け水で清めるといわれます。
4月初旬の諏訪です。雪解け水の川に、人が入って柱を渡します。上社を選ぶと、木落しと川越しの両方が同じ山出しで見られます。
危険な行事であること
数トンの柱が急斜面を落ちる行事です。ただし公式が書いていることと書いていないことには、はっきりした差があります。
公式に事故の記載はない
★過去の事故や死者数についての記載は、諏訪大社の公式サイトにも、御柱祭 ONBASHIRA in SUWA にもありません。よくある質問にも項目がありません。
したがって出典のある数字が存在しません。検索に出てくる人数は、公式が示したものではないことになります。
「安全対策実行委員会」という組織がある
確認できる事実として、諏訪大社御柱祭安全対策実行委員会という組織が存在します。2022年2月22日に上社の曳行取りやめを報道発表したのが、この委員会です。
そのとき「御柱祭実施ガイドラインを守ることで一致した」とされています。安全のための枠組みが、祭の運営側に置かれているということです。
一般の人は曳行に参加できない
★御柱祭は「氏子のお祭り」で、柱を担当する地区の氏子が参加します。一般の人は参加できません。公式のよくある質問が明記しています。
つまり観客にとっては「見る」祭です。綱に触れる機会はありません。
やってはいけないこと
公式に禁止事項の一覧はありませんが、分かっていることから整理できます。
- ★曳行に加わろうとしない|氏子の祭で、一般の参加はできない
- 有料観覧席のある場所では、指定の席から見る|2022年は木落し坂下の砥川河川敷に席が設けられた
- 4月初旬の諏訪の気温を見込む|宮川の川越しの水温は10度以下とされている
- 観覧の可否や場所は現地の案内に従う|無料エリアや交通規制について公式の記載がないため、諏訪地方観光連盟 御柱祭観光情報センター(0266-58-1123)に確認する
よくある質問
何人亡くなりましたか
★諏訪大社の公式サイトにも、御柱祭 ONBASHIRA in SUWA にも、事故や死者数についての記載がありません。出典のある人数が存在しないため、確かな数字は示せません。確認できるのは、諏訪大社御柱祭安全対策実行委員会という組織があり、御柱祭実施ガイドラインが置かれていることです。
「木落とし」とはどういう意味ですか
急斜面の上から御柱を落とすことです。山から伐り出した御柱を里へ運ぶ山出しの途中に行われます。上社の木落し坂は斜度27度、下社は最大斜度35度・約100mです。
木落としはどこで行われますか
★上社と下社に別々の木落し坂があります。上社は綱置場を出発して穴山の大曲を抜けた先、下社は棚木場を出発して萩倉の大曲を経た先です。2022年には下諏訪町 砥川河川敷(木落し坂下)に有料観覧席が設けられました。
やってはいけないことは何ですか
★曳行に加わることはできません。「氏子のお祭り」で、柱を担当する地区の氏子が参加します。観覧の場所や交通規制については公式の記載がないため、諏訪地方観光連盟 御柱祭観光情報センター(0266-58-1123)に確認するのが確実です。
2028年に木落しは行われますか
★人力曳行と木落しを実施する方針が、2025年4月4日の諏訪大社大総代会で発表されています。前回2022年はコロナ禍の対策として史上初のトレーラー運搬となり木落しが行われなかったため、実施されれば2016年以来12年ぶりになります。
雨でも行われますか
★基本的に雨や雪で中止になったことはありません。雪が降った記録はあるとされています。2022年の曳行中止は天候ではなく感染症対策によるものでした。
まとめ|木落しの要点
- 木落しは山出し(4月)の行事。里曳き(5月)にはない
- ★上社|斜度27度。山出しの2日目
- ★下社|最大斜度35度・約100m。山出し初日から3日間
- ★めどでこに人が乗って落ちるのは上社だけ
- 上社は同じ山出しで川越し(水温10度以下の宮川)も見られる
- 2028年は上社の木落しが4月2日(日)、下社は4月8〜10日の3日間
- ★開始時刻は公式に記載がない。2022年の観覧席は各日8:00〜18:00
- 2022年の下社の有料観覧席は砥川河川敷(木落し坂下)・SS26,000円〜B17,000円
- ★受付は祭の約2か月前・イープラスの抽選だった
- ★事故や死者数についての公式の記載はない。安全対策実行委員会とガイドラインがある
- ★一般の人は曳行に参加できない
- ★2028年は人力曳行と木落しを実施する方針。実施されれば12年ぶり
木落しは山出しの日にしかありません。2028年の山出しは上社4月1〜3日、下社4月8〜10日。どちらも土日月なので、宿は早めに決めておくと選べます。
この記事の情報は2026年10月26日時点のものです。諏訪大社公式の「式年造営御柱大祭」、御柱祭 ONBASHIRA in SUWA(諏訪地方観光連盟)の「山出し」「里曳き」「よくある質問」「御柱祭山出し曳行について」「下社山出し有料観覧席運営中止のお知らせ」「下諏訪町御柱祭実行委員会より、有料観覧席の情報が発表されました。」、諏訪市公式の「御柱祭」を確認しました。木落しの開始時刻、無料で見られる場所、駐車場、交通規制、過去の事故や死者数については、いずれのページにも記載がありませんでした。有料観覧席の料金は2022年に設定され運営中止になった席のもので、2028年分は未発表です。2028年の方針は2025年4月4日の諏訪大社大総代会の発表として長野日報が報じたものです。
