「どんたく」という言葉は日本語ではありません。オランダ語のZondag(ゾンターク)=休日が語源とされています。
祭そのものは治承3年(1179年)に始まったとされる「松ばやし」が起源で、約840年余続いています。名前と中身で時代が違う——そこが博多どんたくの面白いところです。
3分で説明すると
- 正式名称は福岡市民の祭り 博多どんたく港まつり
- 「どんたく」=オランダ語のZondag(休日)。「半ドン」も同じ語源
- 起源は治承3年(1179年)の「松ばやし」。約840年余
- 明治5年(1872年)に中止され、明治12年(1879年)に「博多どんたく」として再開
- しゃもじは、夕食の支度中だった商家のおかみさんが叩いて囃子に加わったのが始まり
- 2020年3月16日、博多松ばやしが国の重要無形民俗文化財に
博多どんたくとは
正式名称は福岡市民の祭り 博多どんたく港まつりです。毎年5月3日・4日に行われます。
主催は福岡市民の祭り振興会で、福岡市・福岡商工会議所・福岡観光コンベンションビューローで構成されています。神社の神事ではなく、市民の祭りという性格です。
規模は振興会によれば見物客 約200万人、参加どんたく隊 延べ約650団体、出場者 約3万3千人です。ただし福岡県が2026年について出した見込みは「延べ200団体・1万8500人」で、「ここ数年では最大規模」とされています。650団体・3万3千人は規模の大きい年の数字と読むのが自然です。
日程と会場は 博多どんたく2027の日程 にまとめました。
「どんたく」とはどういう意味か
振興会がはっきり書いています。
オランダ語のZondag(休日)
「どんたく」は、オランダ語の「ZONDAG(ゾンターク…休日)」が語源とされています。
日曜日・休日を意味する言葉が、明治期の日本で「どんたく=休日」として使われていました。祭の名前になったのは明治12年(1879年)です。
「半ドン」も同じ語源
振興会はもう一つ添えています。「半ドン」も「半分ドンタク」という意味だと。
土曜の午前だけ働いて午後が休みになることを「半ドン」と言いますが、これも「半分休日」だったわけです。いま全国で使われる言葉と、博多の祭の名前が同じ語から出ていることになります。
いつから続いているか
名前は明治からですが、行事そのものはもっと古いものです。
振興会は治承3年(1179年)に始まったとされる「松ばやし」を起源とする、約840年余の伝統行事としています。記録は貝原益軒の『筑前国続風土記』にあります。
その後、博多の町人が祝い合う行事として発展させたとされています。武家や神社が主導したのではなく、町人の行事として育ったという説明です。
なぜ一度禁止されたのか
長い歴史の中で2度止まっています。
明治5年|松囃子と山笠がともに中止
明治5年(1872年)、松囃子・山笠が中止されました。博多祇園山笠も同じ年に止まっています。
ただし中止の理由は書かれていません。「中止されました」という記述だけです。
そして明治12年(1879年)に再開され、このとき「博多どんたく」と呼ばれるようになりました。7年の中断を経て、名前が変わって戻ってきたことになります。
昭和16年〜21年|戦争による中止と復活
2度目は戦争です。昭和16年(1941年)に戦時中のため中止されました。
復活は昭和21年(1946年)5月24日です。8年ぶりでした。振興会はこのときの様子をこう記しています——紙の肩衣やハリボテの馬などを使い、瓦礫の町を練り歩いたことが復興への勇気になったと。
2026年のサブタイトル「どんたく復活80年」は、この1946年から数えたものです。
「港まつり」が付いている理由
正式名称には「港まつり」が入っています。
時系列はこうです。
- 昭和22年(1947年)|福岡商工会議所が中心となり、戦後初のどんたくを開催
- 昭和24年(1949年)|開催日を5月3日・4日と定めた
- 昭和37年(1962年)|「福岡市民の祭り『博多どんたく港まつり』」となり現在に至る
福岡県の観光サイトは、1949年に博多港の発展を祝う「港まつり」と合流したと説明しています。町人の祭と、港町の祝いが一つになったかたちです。
ただし振興会のサイトには「港まつり」が加わった経緯の詳細は書かれていません。書かれているのは昭和37年に現在の名称になった、という事実だけです。
博多松囃子とは
どんたくの起源であり、いまもパレードの先頭を進むのが博多松囃子です。
三福神と稚児の4つの流
博多松囃子は福神流(ながれ)・恵比須流・大黒流の3福神と、兒(ちご)流の4つの流で構成されます。
3福神はそれぞれ馬に乗ります。 子どもたちが太鼓を叩きながら「言い立て(祝い唄)」を唄い、大人たちが笠鉾を立ててこれに続きます。
稚児流は少女の舞
兒流は性格が違います。天冠・舞衣・緋袴姿の少女を乗せた曳き台を引きながら町中を回り、要所で舞を披露します。
パレードでは5月3日13時06分に、稚児舞奉上として先頭を進みます。そして3日は博多部、4日は福岡部を回ります。那珂川をはさんだ2つの町を、2日かけて回るわけです。
しゃもじを持って踊る理由
どんたくの象徴がしゃもじです。由来はこう伝えられています。
商家の前をどんたく囃子が通りかかった際、夕食の支度中だった商家のおかみさんが浮かれ出し、手にしていたしゃもじを叩いて囃子に加わった——これが始まりとされています。
楽器を用意したのではなく台所にあったものをそのまま持って出たという話です。見る側が勝手に加わってしまったという性格が、そのまま祭の形になっています。
いまは振興会がしゃもじを売っています。絵入りしゃもじが1セット(2本)1,000円、焼印しゃもじが1セット(2本)500円です。買い方は 博多どんたくのしゃもじ にまとめました。
博多祇園山笠との違い
福岡の2大祭としてよく並べられますが、性格がまったく違います。
祭の性格が違う
| 博多どんたく | 博多祇園山笠 | |
|---|---|---|
| 時期 | 5月3日・4日 | 7月1日〜15日 |
| 性格 | 市民の祭り(福岡市民の祭り振興会) | 櫛田神社への奉納神事 |
| 起源 | 治承3年(1179年)の松ばやし・約840年余 | 鎌倉時代・780年以上 |
| 単位 | どんたく隊(誰でも作れる) | 7つの「流(ながれ)」(地区) |
| 文化財 | 博多松ばやしが2020年に国指定 | 国指定+2016年ユネスコ無形文化遺産 |
| 見どころ | パレード・演舞台・総踊り | 7月15日4時59分の追い山笠 |
山笠は博多の総鎮守・櫛田神社に山笠を奉納し、無病息災を願う神事です。飾り山笠は高さ10m前後で市内14カ所に飾られ、舁き山笠は全7基。追い山笠では重さ1トンの山笠を担いで約5kmを走ります。
重なっているところ
違う祭ですが、接点があります。
- 明治5年(1872年)に、松囃子と山笠がともに中止された
- 櫛田神社は山笠の舞台であり、どんたくでも演舞台(9:00〜17:00)が立つ
- 「博多祝い唄」|山笠では一番山笠だけが唄うことを許される。振興会が出しているどんたくのCDにも「博多祝い唄(博多祇園山笠バージョン)」が入っている
2つの祭の比べ方は 博多どんたくと博多祇園山笠の違い、山笠の日程は 博多祇園山笠の日程 にまとめています。
国の重要無形民俗文化財
指定を受けているのは「博多どんたく」ではなく「博多松ばやし」です。ここは混同されやすい点です。
令和2年(2020年)3月16日、「博多松ばやし」が国の重要無形民俗文化財に指定されました。
つまり祭全体ではなく、起源にあたる松囃子の部分が文化財です。パレードのプログラムでも、松囃子には「国重要無形民俗文化財」と明記されています。
どんたく隊には企業や学校、海外の団体も参加します。伝統の核(松囃子)と、開かれた参加(どんたく隊)が同じ祭の中にある——その二層構造が博多どんたくの形です。
よくある質問
Q. どんなお祭りですか。
A. 福岡市民の祭り 博多どんたく港まつりが正式名称で、毎年5月3日・4日に行われます。明治通りのパレードと市内各所の演舞台が中心で、振興会によれば見物客は約200万人です。
Q. 「どんたく」とはどういう意味ですか。
A. オランダ語の「ZONDAG(ゾンターク)=休日」が語源とされています。「半ドン」も「半分ドンタク」という意味だと説明されています。
Q. 博多祇園山笠との違いは何ですか。
A. どんたくは5月3日・4日の市民の祭り、山笠は7月1日〜15日の櫛田神社への奉納神事です。どんたくはどんたく隊という単位で誰でも参加でき、山笠は7つの「流」という地区の単位で担われます。明治5年に両方が中止されたという共通点もあります。
Q. 由来は何ですか。
A. 治承3年(1179年)に始まったとされる「松ばやし」が起源です。貝原益軒の『筑前国続風土記』に記され、その後博多の町人が祝い合う行事として発展しました。
Q. なぜしゃもじを持って踊るのですか。
A. 夕食の支度をしていた商家のおかみさんが、通りかかったどんたく囃子に浮かれ出し、手にしていたしゃもじを叩いて加わったのが始まりとされています。
まとめ|博多どんたくの成り立ち
- 正式名は福岡市民の祭り 博多どんたく港まつり。毎年5月3日・4日
- 「どんたく」=オランダ語のZondag(休日)。「半ドン」も同じ語源
- 起源は治承3年(1179年)の松ばやし。約840年余、『筑前国続風土記』に記載
- 明治5年に中止、明治12年に「博多どんたく」として再開(中止の理由は記載なし)
- 昭和16年に戦争で中止、昭和21年5月24日に8年ぶり復活
- 昭和24年に5月3日・4日と定め、昭和37年に現在の名称に
- しゃもじは商家のおかみさんが叩いて加わったのが始まり
- 2020年3月16日、博多松ばやしが国の重要無形民俗文化財に
→ 博多どんたく2027の日程|会場別スケジュールと回り方
→ 博多どんたくのしゃもじ|由来と公式グッズ
→ 博多どんたくと博多祇園山笠の違い
→ 博多祇園山笠の日程|追い山と飾り山
この記事の情報は2026年10月24日時点で、博多どんたく公式サイト(福岡市民の祭り振興会)の「どんたくとは」「どんたく広場プログラム」「公式記念グッズ発売」、福岡県の報道発表、クロスロードふくおか(福岡県観光連盟)の各ページを確認したものです。博多祇園山笠については、クロスロードふくおかのイベントページによります。明治5年の中止の理由は公式に記載がありません。
