相馬野馬追の2日目は、朝から夕方まで行事が続きます。ただ、それぞれが別々の見世物というわけではありません。
お繰り出し → お行列 → 甲冑競馬 → 神旗争奪戦という順番には意味があります。出陣して、行軍して、戦う。その流れとして組まれています。
3分で説明すると
- お行列は9時30分出発。合図は花火と三番螺(さんばんがい)と陣太鼓
- 約400騎が野馬追通りを通り、約3km先の雲雀ヶ原祭場地を目指す
- その前にお繰り出しがある。相馬三社に分かれて出陣式を行う
- 行列の順は中ノ郷勢 → 小高郷・標葉郷 → 北郷・宇多郷
- 甲冑競馬は正午。陣螺と陣太鼓が鳴ると始まる
- 神旗争奪戦は午後1時。空中で花火が炸裂し、二本の御神旗が降りてくる
- お行列は沿道で見られる。観覧券が要るのは雲雀ヶ原の中だけ
- 公式は行列の所要時間を書いていない
お行列とは何か
公式が「天下無比の圧巻」と書いている行事です。
約400騎が約3kmを進む
甲冑に身を固めた総勢約400騎の騎馬武者が、先祖伝来の甲冑を身につけて進みます。公式の表現では、戦国絵巻や時代絵巻を思わせる威厳と華やかさ、ということになります。
通るのは野馬追通り。小川橋付近から、約3km先の雲雀ヶ原祭場地へ向かいます。
400騎が3kmを進むので、先頭が着いても最後尾はまだ出発地点の近くにいる、という長さです。沿道のどこで見ても、しばらくのあいだ騎馬が通り続けることになります。
出発の合図は花火と三番螺と陣太鼓
公式の説明をそのまま引きます。
夏空に打ち上がる花火が合図となり、三番螺(さんばんがい)と陣太鼓(じんだいこ)の音とともに出発を告げます
「夏空」と書かれていますが、これは7月開催だった時代の文章がそのまま残っているものです。2024年から5月の最終土・日・月曜日に移っているので、実際は5月末の空になります。
進み方にも合図があります。陣螺(じんがい)と陣太鼓の合図で、行列は止まったり進んだりしながら隊列を整えます。ずっと歩き続けるわけではありません。
その前にある「お繰り出し」
お行列の前に、1日目から動いている部分があります。
相馬三社に分かれて出陣式
騎馬は藩政時代の行政区に基づいて、相馬中村神社・相馬太田神社・相馬小高神社の三社に分かれて集合します。そしてそれぞれで出陣式を行います。
流れはこうです。
- 各社に参拝する
- 祝杯をあげる
- 準備が整うと大将が出陣を命じる
- 軍者が振旗を振って合図を送り、螺役(かいやく)が法螺貝を吹いて出陣する
「お繰り出し」という言葉が指しているのは、この4番目の場面です。
総大将の伝言は早馬で届く
三社のうち、相馬中村神社の出陣式は総大将を擁するため、ほかの二社よりとりわけ厳かだと公式が書いています。
そして、こういう一文があります。総大将からの伝言は早馬によって逐一届けられ、北郷陣屋には緊張感が漂う。
演出として早馬を走らせているのではなく、進行の連絡がそれで行われているという書き方です。総大将お迎えの儀式を終えた宇多郷・北郷の部隊は、そのあと雲雀ヶ原のある原町区へ向かいます。
行列の構成
400騎がばらばらに並んでいるわけではありません。
先頭から3つの勢
| 順 | 勢 | どの神社に供奉するか |
|---|---|---|
| 1 | 中ノ郷勢 | 相馬太田神社 |
| 2 | 小高郷・標葉郷 | 相馬小高神社 |
| 3 | 北郷・宇多郷 | 相馬中村神社 |
郷(ごう)は地域の区分です。どの郷が通っているかが分かると、行列の進み具合も読めます。
役職の並び
各勢の中には、役付きの騎馬が整然と進みます。公式が挙げているのはこの役職です。
- 総大将
- 軍師
- 郷大将
- 侍大将
- 軍者
- 組頭
- 螺役長 など
総大将は相馬家の当主家から出ます。2025年は相馬家33代当主・相馬和胤氏の孫、言胤氏が務めました(相馬市の公式ページ)。
何時から何時までか
2日目の時刻を整理します。
| 時刻 | 行事 | 場所 |
|---|---|---|
| 4:00 | 相馬三妙見社 御神輿礼螺奉納 | 旭公園 |
| 記載なし | 勢揃い | 小川町地区 |
| 9:30 | お行列 出発 | 野馬追通り |
| 記載なし | 式典/相馬流山踊り披露 | 雲雀ヶ原祭場地 |
| 12:00 | 甲冑競馬 | 雲雀ヶ原祭場地 |
| 13:00 | 神旗争奪戦 | 雲雀ヶ原祭場地 |
| 19:30 | 火の祭 | 小高区 前川堤周辺 |
注意したいのは、公式のスケジュールに時刻が書かれていない行事があることです。勢揃い・式典・相馬流山踊りの3つは、時刻が公表されていません。
お行列の9時30分と甲冑競馬の12時のあいだ、2時間半のどこかに入るものですが、何時からとは書かれていません。この記事でも推測の時刻は書きません。
行列の所要時間も公式に記載がありません。3kmという距離だけが示されています。
どこで見るのが一番いいか
お行列については、見る場所が3つに分かれます。
沿道(観覧券なし)
野馬追通りの沿道です。観覧券の案内がないので、無料で見られます。
長さ3kmの行列なので、どこに立っても400騎が順に通ります。ただし立ち位置によって見える順番が変わります。出発地点に近いほど先頭の中ノ郷勢を早く見られて、雲雀ヶ原に近いほど最後尾まで遅い時間に見ることになります。
公式が挙げているマナーに「馬の前やお行列を横切らない」「上から見下ろさない」があります。沿道で見るときに効いてくるのはこの2つです。
行列観覧席(5,000円)
祭場地の外側、沿道に設けられた椅子席です。1人1席。
この席の利点は、座って見られることだけではありません。入場券がついていて、行列終了後は本陣山の自由席で観覧できます。つまりお行列と、午後の甲冑競馬・神旗争奪戦が1枚でつながります。
雲雀ヶ原の中で待つ
先に祭場地に入って、行列が到着するのを待つという見方もあります。この場合は観覧券が必要です。
ただし到着時刻は公式に出ていません。式典の時刻も書かれていないので、何時に着くかが読めないという弱点があります。
お行列のあと|甲冑競馬と神旗争奪戦
ここからが2日目の後半です。場所は雲雀ヶ原祭場地、観覧券が必要になります。
甲冑競馬(正午)
公式の説明です。正午に陣螺と陣太鼓が鳴ると始まります。
騎乗するのは、兜を脱いで白い鉢巻を締めた若武者。大坪流の手綱さばきで馬を操り、先祖伝来の旗指物を風になびかせて走ります。
公式が挙げている見どころは、音です。旗のはためく音、甲冑の擦れる音、馬の蹄が土を蹴る音が混ざり合い、砂埃の中を駆け抜ける、と書かれています。
なお周回数・走行距離・出走頭数・レース数・勝敗の決め方は、公式サイトに書かれていません。この記事でも数字は書きません。
神旗争奪戦(午後1時)
祭の最高潮とされる行事です。流れはこうなります。
- 午後1時、山頂の本陣から陣螺(法螺貝)の合図
- 待機していた騎馬武者が雲雀ヶ原一面に広がる
- 空中で花火が炸裂し、二本の御神旗がゆっくり降りてくる
- 数百騎が旗をめがけて駆け出し、旗の下に群がって鞭を振るいながら奪い合う
甲冑競馬が走路の上の競技なのに対して、こちらは原っぱ全体が舞台です。見る位置の考え方が変わります。
打ち上げの回数、奪った旗がどうなるか、騎馬の正確な数は公式に書かれていません。
写真を撮るときの位置
撮影は、立入禁止エリアを除けば可能です。ただし制限があります。
| 場所 | できること/できないこと |
|---|---|
| 特別撮影エリア(第1〜3コーナー) | 神旗争奪戦のときだけ走路まで入れる。甲冑競馬では入れない。馬場内や他のコーナーへの移動も不可 |
| 特別撮影エリア(羊腸の坂) | 坂の上部か下部のどちらか一方のみ。脚立・自撮り棒は持ち込み不可 |
| 会場全般 | ドローンと自撮り棒は禁止。フラッシュも使わない |
| 沿道 | 行列を横切らない。上から見下ろさない |
羊腸の坂で脚立が禁止なのは、公式が「急斜面で馬が接近する場所」と書いているためです。馬との距離が近いぶん、持ち込めるものが制限されています。
400騎の旗指物は家ごとに違います。遠くからその違いを見たいなら 双眼鏡 があると変わります。
有料席が必要か
見たいものによります。
| 見たいもの | 観覧券 |
|---|---|
| お繰り出し・出陣式(1日目) | 案内なし |
| お行列(沿道) | 案内なし |
| お行列(椅子席) | 行列観覧席 5,000円 |
| 甲冑競馬・神旗争奪戦 | 必要(自由席は前売800円・当日1,000円) |
| 野馬懸(3日目) | 案内なし |
席ごとの見え方の違いは チケットと観覧席 に分けて書きました。
3日目の野馬懸まで見ると
2日目で帰ってしまう人が多いと思いますが、3日目にも見どころがあります。
相馬小高神社で行われる野馬懸です。騎馬武者数十騎が裸馬を境内の竹矢来へ追い込み、白鉢巻に白装束の御小人(おこびと)が、多くの馬の中から「おぼし召し」にかなう荒駒を選んで素手で捕らえます。
公式はこの行事について、「昔の名残をとどめる唯一の神事といわれ、国の重要無形民俗文化財に指定される重要な要因となりました」と書いています。
9時から11時30分までで終わり、観覧券の案内もありません。2日目の迫力とはまったく性格の違う時間です。
よくある質問
お行列は何時に終わりますか
公式に記載がありません。9時30分に出発して約3km先の雲雀ヶ原を目指す、という情報までです。400騎の行列なので、先頭と最後尾では到着に差が出ます。
総大将はどこにいますか
行列の中の役付き騎馬のひとつとして進みます。総大将を擁するのは相馬中村神社の勢(北郷・宇多郷)で、行列では3番目のグループになります。
どんな行事ですか
妙見を祀る相馬三社の祭礼です。出陣(お繰り出し)、行軍(お行列)、競技(甲冑競馬・神旗争奪戦)、神事(野馬懸)という流れで3日間かけて行われます。
馬に近づけますか
沿道でも祭場地でも、馬はすぐ近くを通ります。公式のマナーに「馬の前を横切らない」「馬の後方に立たない」「フラッシュを使わない」「馬を驚かせない」があります。近いからこそ、守る前提の行事です。
雨でも行われますか
雨天決行です。ただし災害や気象警報の発令時には中止となる場合があります。傘ではなく雨合羽を使うよう公式が求めています。
まとめ|見どころの要点
- お行列は9時30分出発。合図は花火と三番螺と陣太鼓
- 約400騎が野馬追通りを約3km進んで雲雀ヶ原へ向かう
- 行列の順は中ノ郷勢 → 小高郷・標葉郷 → 北郷・宇多郷
- 前段のお繰り出しは相馬三社で。総大将の伝言は早馬で届く
- 甲冑競馬は正午。兜を脱いで白鉢巻、大坪流の手綱さばき
- 神旗争奪戦は午後1時。花火が炸裂して二本の御神旗が降りてくる
- 甲冑競馬は走路、神旗争奪戦は原っぱ全体。見る位置の考え方が変わる
- お行列は沿道なら観覧券なし。券が要るのは雲雀ヶ原の中だけ
- 公式は行列の所要時間、甲冑競馬の距離・頭数を書いていない
- 3日目の野馬懸は9時〜11時30分、観覧券の案内なし
この記事の情報は2026年10月26日時点のもので、2027年(令和9年度)の日程が公式に発表される前に書いたものです。時刻は2026年(令和8年度)のスケジュールによります。相馬野馬追公式サイトの「見どころ(お行列・甲冑競馬・神旗争奪戦・お繰り出し・野馬懸)」「スケジュール」「観覧チケットの購入」「よくあるご質問」「相馬野馬追について」と、相馬市「【2025年5月23日】相馬野馬追の無事を祈る 出陣安全祈願祭と総大将出陣祝いの宴」を確認しました。お行列の所要時間、甲冑競馬の距離・出走頭数・勝敗の決め方、神旗争奪戦の打ち上げ回数と騎馬数は公式に記載がないため書いていません。公式の「夏空に打ち上がる花火」という表現は、7月開催だった時代の文章がそのまま残っているものです。
