高山祭には春と秋があります。ただ「同じ祭を2回やっている」わけではありません。
神社が違います。屋台も違います。春に出る12台と秋に出る11台のあいだに、重なるものは1台もありません。
3分で説明すると
- ★春は山王祭(日枝神社)、秋は八幡祭(櫻山八幡宮)。別の神社の例祭
- 春は4月14日・15日、秋は10月9日・10日。どちらも日付で固定
- ★春の屋台は12台、秋は11台。計23台で、春と秋で入れ替わる
- 氏子区域も違う|春は旧高山城下町の南半分、秋は北半分
- ★からくりは春3台(三番叟・石橋台・龍神台)、秋1台(布袋台)
- 夜祭はどちらもある。ただし秋は18時開始と明記、春は時刻の記載がない
- ★屋台の曳廻しは秋だけの行事
- 雨天時の扱いは、どちらも公式に記載がない
高山祭は春と秋の2つある
高山市の説明では、高山祭は「4月14・15日の日枝神社の山王祭と、10月9・10日の桜山八幡宮の八幡祭の総称」です。
つまり「高山祭」という1つの祭があるのではなく、2つの祭をまとめた呼び名だということになります。
そして町を南北に2分し、春と秋にそれぞれ10数基の屋台が練り歩きます。
2つを表で比べる
| 春の高山祭 | 秋の高山祭 | |
|---|---|---|
| 正式名称 | 山王祭(さんのうまつり) | 八幡祭(はちまんまつり) |
| 神社 | 飛騨山王宮 日枝神社 | 櫻山八幡宮 |
| 日程 | 毎年4月14日・15日 | 毎年10月9日・10日 |
| 氏子区域 | 旧高山城下町の南半分 | 旧高山城下町の北半分 |
| 屋台 | 12台 | 11台 |
| からくり | 3台(三番叟・石橋台・龍神台) | 1台(布袋台) |
| からくりの場所 | 本町1丁目の陣屋前交差点の路上 | 櫻山八幡宮の境内 |
| 行列の呼び名 | 御巡幸(ごじゅんこう) | 御神幸(ごしんこう) |
| 2日間の呼び名 | 14日=試楽祭/15日=本楽祭 | 9日=例大祭/10日 |
| 屋台の曳廻し | なし | あり(9日午後・4台) |
春の山王祭(4月14〜15日)
舞台は安川通りの南側・上町です。
14日(試楽祭)に全屋台が曳き揃えられ、午後の「発御祭」のあと日枝神社を出発して祭礼区域を巡ります。夜は提灯を灯した屋台が町を巡ります。
15日(本楽祭)は再び屋台が曳行され、正午の「発御祭」で御旅所から日枝神社へ還御。神輿の還御とともに曳き別れになります。
秋の八幡祭(10月9〜10日)
舞台は櫻山八幡宮の周辺です。
準備は10月7日から始まり、この日に屋台の曳き順を抽選で決めます。
9日(例大祭)は御神幸と行列、午後に屋台曳廻し、18時から宵祭。10日は御神幸と屋台の曳き揃えで、夕刻に曳き払いとなります。
なお秋の日程は1968年(昭和43年)にこの日に定められました。
★出る屋台が春と秋で別
ここがいちばん大きな違いです。
現存する高山祭の屋台は計23台。そのうち春に12台、秋に11台が出ます。重なる屋台はありません。
春に出る12台
神楽台・三番叟・麒麟台・石橋台・五台山・鳳凰台・恵比須台・龍神台・崑崗台・琴高台・大国台・青龍台
先頭は神楽台(屋根無、太鼓昇降)。曳行順はくじで決まりますが、三番叟は「一番」を引く慣例で、神楽台に続いて先行します。
屋根の形では青龍台だけが入母屋造で、ほかの多くは切破風屋根です。
秋に出る11台
神楽台・布袋台・金鳳台・大八台・鳩峯車・神馬台・仙人台・行神台・宝珠台・豊明台・鳳凰台
秋にも神楽台と鳳凰台という名前がありますが、春のものとは別の屋台です(春の神楽台は4輪、秋の神楽台は3輪)。
特徴のあるものを挙げると、仙人台は唐破風屋根を残す最古の形式、宝珠台は屋根の亀、大八台は3輪の御所車、鳳凰台は白彫りの谷越獅子の彫刻です。
通年で屋台を見たいなら 高山祭屋台会館 があります。ただし展示されているのは秋の屋台です。
★からくり奉納はどちらで見られるか
どちらでも見られます。ただし台数と場所が違います。
| 春 | 秋 | |
|---|---|---|
| 台数 | 3台 | 1台 |
| 屋台 | 三番叟・石橋台・龍神台 | 布袋台 |
| 場所 | 本町1丁目の陣屋前交差点の路上 | 櫻山八幡宮の境内 |
| 回数 | 14日・15日とも1日2回、各台20分ほど | 9日・10日とも1日2回 |
公式が書いている重要な事実があります。現在、からくりを演じる屋台は春秋合わせて4台のみです。
演目の中身も違います。
- 三番叟(春)|童子が扇と鈴で舞い、面筥に顔を伏せると翁の面に変わる早変わり
- 石橋台(春)|美女が獅子に変わり、また美女に戻る。1892年に風紀上の理由で禁止され、1984年に復活した
- 龍神台(春)|唐子の壺から龍神が現れる。32条の綱で操る
- 布袋台(秋)|36本の糸を8人で操り、唐子が綾(ブランコ)を渡って、布袋和尚の手の軍配から幟が出る
数を見たいなら春、1台をじっくり見たいなら秋という分かれ方になります。どちらもYouTubeでライブ配信されています。
夜祭はどちらもあるか
あります。春も秋も1日目の夜です。
秋は18時開始と明記されている
秋の宵祭は、公式に時刻が書かれています。午後6時に神楽台を先頭に11台が夜の町を巡行し、順道場で曳き別れを行って各屋台蔵へ戻ります。
春は時刻の記載がない
春の夜祭は14日夜とされていますが、開始時刻が公式に書かれていません。
内容は共通していて、各屋台が約100個の提灯を灯し、ゆっくりと町を巡ります。順道場を過ぎると曳き別れの歌を歌い、屋台蔵へ帰ります。
夜祭そのものについては 高山祭の夜祭 に分けて書きました。
★屋台の曳廻しは秋だけ
見落とされやすい違いです。
10月9日の午後、4台の屋台が町を巡ります。公式は「屋台の曳廻しは秋の祭のみの行事で、春の高山祭では行われない」と明記しています。
春の屋台は所定の場所に曳き揃えられ、そこに置かれます。動いている屋台を昼間に見たいなら秋ということになります。
桜と紅葉
季節そのものが違います。
- 4月14・15日|飛騨高山の春。標高が高いので、平野部より桜が遅い
- 10月9・10日|秋の入り口。紅葉には少し早い時期にあたる
祭と季節のどちらを主にするか
桜や紅葉を確実に見たいなら、祭の日程と見頃が合うとは限りません。日付が固定されている祭に対して、花や葉は年によって動きます。
紅葉の時期は 紅葉の見頃 にまとめています。高山の回り方は 飛騨高山のモデルコース を見てください。
混雑と宿の取りにくさ
どちらも日付が固定なので、曜日の巡りで混み方が変わります。
| 年 | 春(4/14・15) | 秋(10/9・10) |
|---|---|---|
| 2027年 | 水・木 | 土・日 |
| 2028年 | 金・土 | 月・火 |
2027年は秋が土日にあたります。平日に休みを取れないなら秋、混雑を避けたいなら春の平日、という選び方ができます。
ただし高山の宿の数は限られます。祭の2日間は早くから埋まるので、日程が決まったら動くことになります。
雨で中止になるか
調べた範囲で正直に書きます。
飛騨高山観光公式サイトにも高山市のページにも、雨天時の扱いの記載がありません。春・秋どちらについてもです。
ひとつ手がかりがあります。秋の高山祭案内本部の受付時間に、こう書かれています。
宵祭が中止の場合、10月9日は9:00〜17:30
宵祭が中止になることがあるという前提で案内が組まれているということです。
屋台は漆塗りと彫刻で飾られた、国の重要有形民俗文化財です。天候によって出ないことがあると考えて、当日に高山祭案内本部(0577-36-1131)で確認するのが確実です。
この記事では「雨なら必ず中止」とも「雨でも出る」とも書きません。公式が明記していないからです。
初めてならどちらに行くか
目的別に整理します。
からくりを数多く見たいなら春
春は3台がからくりを演じます。場所も陣屋前交差点の路上で、1日2回。三番叟の早変わり、石橋台の獅子、龍神台の龍と、演目の性格もそれぞれ違います。
動く屋台を昼間に見たいなら秋
秋には屋台曳廻しがあり、9日の午後に4台が町を巡ります。これは春にはありません。
さらに宵祭が18時開始と明記されているので、予定を組みやすいのも秋です。
| 条件 | 向いているほう |
|---|---|
| からくりを多く見たい | 春(3台) |
| 昼間に動く屋台を見たい | 秋(屋台曳廻し) |
| 夜祭の時刻を先に知りたい | 秋(18時開始と明記) |
| 屋台会館で予習・復習したい | 秋(展示は秋の屋台) |
| 2027年に土日で行きたい | 秋(10月9・10日が土日) |
よくある質問
春と秋の違いは何ですか
神社が違います。春は日枝神社の山王祭(屋台12台)、秋は櫻山八幡宮の八幡祭(屋台11台)です。氏子区域も旧城下町の南半分と北半分で分かれています。
同じ屋台が出ますか
出ません。現存する23台のうち、春に12台、秋に11台が出ます。重なるものはありません。
からくりはどちらで見られますか
どちらでも見られます。春は3台(陣屋前交差点の路上)、秋は1台(櫻山八幡宮の境内)です。からくりを演じる屋台は春秋合わせて4台だけです。
夜祭はどちらもありますか
あります。どちらも1日目の夜です。秋は18時開始と公式に明記されていますが、春は時刻の記載がありません。
雨の場合はどうなりますか
公式に記載がありません。ただし秋の案内本部の受付時間に「宵祭が中止の場合」という記述があるので、中止になることはあります。当日に高山祭案内本部(0577-36-1131)で確認してください。
どちらが混みますか
公式が来場者数を比較していません。日付が固定なので、その年の曜日の巡りで変わると考えるほうが実際的です。2027年は秋が土日です。
まとめ|春と秋の要点
- ★春は山王祭(日枝神社・4月14-15日・12台)、秋は八幡祭(櫻山八幡宮・10月9-10日・11台)
- 氏子区域は旧城下町の南半分と北半分
- ★出る屋台は春と秋で完全に別。重なるものはない
- ★からくりは春3台・秋1台。全部で4台だけ
- 夜祭はどちらもある。秋は18時開始と明記、春は時刻の記載なし
- ★屋台の曳廻しは秋だけ
- 雨天時の扱いは公式に記載がない。宵祭は中止になることがある
- 屋台会館の展示は秋の屋台
- 2027年は秋(10月9・10日)が土日
→ 高山祭2027の日程/夜祭/高山祭屋台会館
→ ツアーと宿/飛騨高山のモデルコース/紅葉の見頃
この記事の情報は2026年10月26日時点のもので、2026年の秋の高山祭(10月9・10日)の終了後に書いたものです。飛騨高山観光公式サイトの「春の高山祭をもっと知る」「秋の高山祭をもっと知る」、高山市の「高山祭屋台」「高山祭の屋台行事」を確認しました。雨天時の扱いは、いずれのページにも記載がありませんでした。宵祭が中止になることがあるという点は、秋の高山祭案内本部の受付時間の記載から読み取れるものです。2027年の日付と曜日は、春4月14日(水)・15日(木)、秋10月9日(土)・10日(日)という計算によります。
