博多祇園山笠の15日間は、午前4時59分に終わります。
その日の朝、櫛田神社の境内で一番山笠が「博多祝い唄」を歌い、約112メートルを駆け抜けて、須崎町まで約5kmを走ります。記録は100分の1秒まで計測されます。そして優勝旗も賞状もありません。
3分で説明すると
- 7月15日 午前4時59分スタート。日付は毎年固定
- コースは櫛田神社→須崎町角、約5km
- ★櫛田入りは約112メートル。清道旗を回って境内を出るまで
- 現在は30秒前半。100分の1秒まで計測する
- 一番山笠が櫛田入りで「博多祝い唄」を歌う。二番山笠は6分後、三番以降は5分間隔
- ★優勝旗や賞状はない
- 櫛田神社の境内に有料の桟敷席が約1800席。追い山は7,000円で事前予約は一切できない
- 午前6時から鎮めの能。これで山笠が終わる
追い山笠とは何か
博多祇園山笠の最終日、7月15日の早朝に行われる行事です。
七流の舁き山笠が、櫛田神社の境内に順に舁き入れられ、そこから博多の町を走って須崎町角を目指します。距離は約5km。
七流のあとに、八番山笠として上川端通が続きます。
★なぜ午前4時59分なのか
半端な時刻に見えます。公式の説明を見てみます。
公式が書いていること
旧暦では夜明けに行われたが、新暦では午前4時59分に設定されている
つまりもともとは「夜明け」という決め方だったということです。旧暦の7月15日は、いまの暦では8月中旬ごろにあたります。
新暦に移したときに、時刻を固定する必要が出た。それが午前4時59分だった、という流れになります。
ただし「なぜ5時ちょうどではなく1分前なのか」については、公式サイトに説明がありません。この記事では理由を推測して書きません。
一番山笠だけ6分後
公式の説明には、出発の間隔が書かれています。
- 一番山笠|櫛田入りで「博多祝い唄」を歌う
- 二番山笠|一番の6分後
- 三番以降|5分間隔
二番だけ1分長いのは、一番山笠が歌を歌うからだと読めます。一番山笠だけが持つ役割です。
★「櫛田入り」とは
追い山笠でいちばん注目されるのが、最初の112メートルです。
公式の定義を引きます。
一番山笠から順に櫛田神社の境内(清道)へ舁き入れ、清道旗を回って境内を出るまでの約112メートル
5kmのうちの、最初の112メートル。ここだけが別に計測されます。
30秒前半を100分の1秒まで計る
公式によると現在は30秒前半で、100分の1秒まで計測されます。
2026年(令和八年)の実績がこちらです。
| 順番 | 流 | 櫛田入り | 全コース |
|---|---|---|---|
| 一番山笠 | 中洲流 | 34秒14 | 34分10秒 |
| 二番山笠 | 西流 | 30秒07 | 31分14秒 |
| 三番山笠 | 千代流 | 31秒99 | 30分07秒 |
| 四番山笠 | 恵比須流 | 32秒36 | 32分47秒 |
| 五番山笠 | 土居流 | 36秒15 | 32分05秒 |
| 六番山笠 | 大黒流 | 34秒77 | 30分54秒 |
| 七番山笠 | 東流 | 32秒05 | 29分40秒 |
| 八番山笠 | 上川端通 | 58秒56 | - |
七流の全コースは29分40秒から34分10秒に収まっています。約5kmを30分前後。山笠を担いで走る速さです。
八番山笠(上川端通)の櫛田入りが58秒56と長いのは、山笠の性格が違うためです。
優勝旗も賞状もない
これだけ精密に計測しておきながら、公式はこう書いています。
優勝旗や賞状はない
タイムは出るが、賞は出ない。順位を競う競技ではなく、奉納の神事だということです。
コースと距離
櫛田神社を出て、須崎町角までの約5kmです。公式は須崎町の「廻り止め」という言い方をしています。
清道旗が3つ立つ
コースには清道旗が3つあります。山笠はこれを回ります。
| 場所 | 由来 |
|---|---|
| 櫛田神社の清道 | 下東町が嘉永元(1848)年に提案し、いまも管理している |
| 東長寺 | - |
| 承天寺の前 | 明治26(1893)年に正式な清道となった。土俵で支えて立てる |
承天寺は、博多祇園山笠振興会が採る起源説で聖一国師にゆかりのある寺です。山笠がここを回るのは、起源に戻る動きだと見ることもできます。
七つの流の出発順
出発順は年によって変わります。2026年は中洲流 → 西流 → 千代流 → 恵比須流 → 土居流 → 大黒流 → 東流、そして八番が上川端通でした。
七流は土居流・大黒流・恵比須流・西流・東流・中洲流・千代流。流は10数か町の集まりでできた共同組織で、江戸時代は日常生活と深く結びついていました。
公式によると七流なのは、奇数が縁起がよいとされたためです。4つの旧流が廃れ、戦後に2流、のちの再編で2流が加わって、いまの構成になっています。
なお奇数番の山笠が「差し山」(勇壮な人形、頂上に櫛田神社の三神の神額)、偶数番が「堂山」(優美な飾り、お堂の作り物)という区別もあります。
どこで見るのが一番いいか
5kmのコースのどこで見るかで、見えるものが変わります。
櫛田神社の境内|櫛田入りを見る
いちばんの見どころは櫛田入りです。ただし境内は有料の桟敷席が約1800席で、ここを見るには券が要ります。
そして福岡市が「スタート地点の櫛田神社周辺が混雑します」と注意しています。券がない場合、境内の外から見ることになります。
コースの途中|走る山笠を見る
櫛田神社を出た山笠は、博多の町を走ります。清道旗のある東長寺と承天寺の前では、山笠が旗を回ります。
途中の沿道なら券は要りません。ただし5分間隔で次々と来るので、1か所で待っていれば八番まで見られます。
ゴール付近|須崎町角
廻り止めの須崎町角では、走り終えた山笠が入ってきます。
全コースが30分前後なので、4時59分に出た一番山笠は5時30分ごろにゴールする計算になります。八番まで見るなら、6時台まで続きます。
桟敷券はあるか
あります。ただし買い方に条件があります。
| 行事 | 料金 | 場所 |
|---|---|---|
| 追い山(7月15日) | 7,000円 | 櫛田神社内 |
| 追い山馴らし(7月12日) | 3,000円 | 櫛田神社内 |
公式Q&Aの回答がこうです。
事前予約は一切できません
令和5年の例では6月26日9時から当日販売分のみでした。販売日は年によって変わるので、櫛田神社 社務所(092-291-2951)に確認することになります。
※この料金と販売方法は、公式Q&Aに載っている令和5年の案内です。
追い山笠ならし(7月12日)との違い
3日前に、ほぼ同じことをやる日があります。
| 追い山笠ならし | 追い山笠 | |
|---|---|---|
| 日時 | 7月12日 15:59 | 7月15日 4:59 |
| 距離 | 約4km | 約5km |
| ゴール | 奈良屋町角 | 須崎町角 |
| 計測 | 櫛田入りと全コースを計測 | 同じ |
| 桟敷券 | 3,000円 | 7,000円 |
12日は午後3時59分です。早起きが要らず、桟敷券も安い。「追い山を見たいが4時59分は厳しい」なら、こちらという選び方ができます。
違いは距離(4kmと5km)とゴール、そして本番かどうかです。
始発前なので足をどうするか
ここが追い山笠でいちばん現実的な問題です。
午前4時59分に櫛田神社の周辺にいる必要があります。そこから逆算すると、4時台には現地に着いていることになります。
この時間に動く手段は限られます。地下鉄やバスの始発時刻は路線によって違うので、使うつもりなら前もって確認が要ります。
いちばん確実なのは歩いて行ける場所に泊まることです。櫛田神社は福岡市博多区上川端町。博多駅前、中洲、キャナルシティ周辺なら歩ける範囲に入ります。
エリアごとの選び方は 博多のホテル にまとめました。
鎮めの能まで見る
追い山笠が終わって、そのまま帰る人が多いと思います。ただ、もうひとつあります。
午前6時から、櫛田神社の能舞台で「鎮めの能」が演じられます。
公式によると、明治30年代までは一流が奉仕していましたが、現在は神社総代会が担当しています。走り終わった町が静かになる時間です。
これで15日間の博多祇園山笠が終わります。
よくある質問
2027年の追い山はいつですか
2027年7月15日(木)の午前4時59分です。日付と時刻が固定されています。
何時に行けばいいですか
公式は場所取りの時刻を案内していません。福岡市が「スタート地点の櫛田神社周辺が混雑します」としています。一番山笠が4時59分に出るので、それまでに位置を決めることになります。
何時に終わりますか
全コースのタイムが30分前後で、5分間隔で八番まで出発します。計算すると6時台までかかります。そのあと午前6時から鎮めの能です。
桟敷券は予約できますか
できません。公式Q&Aが「事前予約は一切できません」としています。令和5年の例では6月26日9時から当日販売分のみでした。
博多どんたくとの違いは何ですか
別の祭です。どんたくは5月3日・4日のパレードと演舞台、山笠は7月1〜15日の櫛田神社の奉納行事です。どんたくと山笠の違い に整理しました。
雨でも行われますか
公式サイトに雨天時の扱いの記載を確認できませんでした。7月なので雨具は持っていくことになります。
まとめ|追い山笠の要点
- 7月15日 午前4時59分スタート。櫛田神社→須崎町角、約5km
- 公式は「旧暦では夜明けに行われたが、新暦では午前4時59分に設定されている」としている
- ★櫛田入りは約112メートル。30秒前半を100分の1秒まで計測
- 一番山笠が「博多祝い唄」を歌い、二番は6分後、三番以降は5分間隔
- ★優勝旗も賞状もない
- 2026年の全コースは29分40秒〜34分10秒。八番山笠は上川端通
- コースには清道旗が3つ(櫛田神社・東長寺・承天寺)
- 桟敷券は追い山7,000円。事前予約は一切できない。境内に約1800席
- 7月12日の追い山笠ならしは15:59・約4km・3,000円。早起きが要らない
- 午前6時から鎮めの能。これで山笠が終わる
この記事の情報は2026年10月26日時点のもので、2026年の博多祇園山笠(7月1〜15日)の終了後に書いたものです。博多祇園山笠公式サイトの「山笠うんちく」「スケジュール(令和八年度)」「追い山笠 櫛田入り・全コースタイム(令和八年)」「舁き山笠紹介(令和八年度)」「Q&A」と、福岡市政だよりの博多祇園山笠のページを確認しました。タイムは2026年の実績です。桟敷券の料金と販売方法は公式Q&Aに載っている令和5年の案内で、年によって販売日が変わります。午前4時59分という時刻について、公式は「新暦では午前4時59分に設定されている」と書くにとどまり、5時ちょうどでない理由の説明はないため、この記事でも書いていません。
