「おわら風の盆 歌詞」で検索すると、歌謡曲の歌詞ページが並びます。
でも祭で唄われているのは民謡の「越中おわら節」です。同じ名前の歌謡曲とは別物です。
そして「おわら」が何を意味するかには、3つの説があります。 公式も1つに決めていません。
3分で説明すると
- 祭で唄われるのは民謡の「越中おわら節」。同名の歌謡曲とは別
- 「おわら」の語源は3説|おわらひ(大笑い)説/大藁説/小原村説
- 唄と楽器を担うのが地方(じかた)|唄い手・囃子・三味線・太鼓・胡弓
- 公式の説明は「三味線が旋律を奏で、哀愁漂う音色で胡弓が追う」
- なぜ胡弓を使うのかの理由を公式は書いていない。書いてあるのは役割だけ
- 地域によって唄い方が異なる。天満町には「コクボおわら」という独特の歌い方がある
- おわらははじめ唄だけで、楽器が加わり、最後に踊りが加わった
唄われているのは「越中おわら節」
おわら風の盆は民謡行事です。越中八尾観光協会は「300年を超える歴史を持つ民謡行事」と紹介しています。
唄を守っているのは「富山県民謡越中八尾おわら保存会」で、11の町それぞれに支部があります。
公式は「『おわら節』の演奏、踊りは基本的には共通していますが、支部によっては唄や踊りに昔ながらの特徴を残しているところもあります」と書いています。11通りの「越中おわら節」があるということです。
順番は 唄 → 楽器 → 踊り
見落とされがちな事実が公式に書かれています。
「『おわら風の盆』は他の民謡と同様、はじめは唄だけでしたが、そのうち楽器が追加になり、次に踊りが追加されました」
踊りが最後です。今は編笠の踊りが祭の顔になっていますが、出発点は唄でした。踊りの始まりは明治44年で、「北陸タイムス(北日本新聞の前身)千号記念」のイベントで芸者たちが即興で踊ったのがはじまりとされています。
歌はどんな形か
公式が形式について触れているのは、語源の説明の中です。
「江戸時代に地元八尾の遊芸の達人たちが創作した七五調の唄の中に『おわらひ(大笑い)』という言葉を差しはさんで町内を練りまわったのが『おわら』と唄うようになった」
七五調、そして地元の遊芸の達人たちが創作したという2点が分かります。
※歌詞の全文はここでは引用しません。公式も歌詞を掲載していません。 現地で配られるパンフレットや、保存会の音源で確認してください。
「おわら」とはどういう意味か
公式は諸説あると書いており、1つに決めていません。 3つ挙げられています。
1. おわらひ(大笑い)説
江戸時代、地元八尾の遊芸の達人たちが創作した七五調の唄の中に「おわらひ(大笑い)」という言葉を差しはさんで町内を練りまわった、という説です。
囃子言葉が祭の名前になったという形になります。
2. 大藁(おおわら)説
豊年祈願から藁の束が大きくなるようにとの思いから、という説です。
おわら風の盆そのものが風の神様を鎮める豊作祈願に由来するので、この説は祭の性格と直接つながります。
3. 小原村説
八尾近隣の小原村の娘が唄いはじめたという説です。
地名が唄の名前になったという見方になります。
「風の盆」の意味
「おわら」とは別に、「風の盆」にも説明があります。
二百十日の前後は台風到来の時節です。収穫前の稲が風害に遭わないよう、風の神様を鎮める豊作祈願が行われていました。公式は「その祭りを『風の盆』というようです」と書いています。
もう一説。「種まき盆、植え付け盆など、地元で休みのことを『ボン(盆)』という背景があり、呼び名の由来があるのではとも言われています」
「盆」は、お盆ではなく「休み」の意味かもしれないということです。祭の成り立ちは おわら風の盆の歴史 にまとめました。
地方(じかた)とは何か
唄と音を担当する人たちのことです。公式が定義を書いています。
「『地方(じかた)』とは、唄い手をはじめ、囃子、三味線、太鼓、胡弓を演奏する人のことを指しています」
5つの役が挙がっています。
- 唄い手
- 囃子
- 三味線
- 太鼓
- 胡弓
公式は見出しを「唄に寄り添う響き」としています。主役は唄で、楽器はそれに寄り添うという位置づけです。
それぞれの役割
公式の説明はこうです。
- 三味線が旋律を奏で
- 哀愁漂う音色で胡弓が追います
- 太鼓が軽いリズムを刻み
- 囃子が唄い手の調子に合わせ唄を誘います
動詞に注目してください。三味線は「奏で」、胡弓は「追う」、太鼓は「刻み」、囃子は「誘う」。役割が明確に分かれています。
胡弓は何をしているのか
おわら風の盆といえば胡弓、という印象があります。公式の記述を正確に見ます。
公式が書いているのは「追う」こと
「三味線が旋律を奏で、哀愁漂う音色で胡弓が追います」
胡弓は主旋律ではありません。 三味線が出した旋律を、あとから追いかける役です。
この「追う」という関係が、おわら特有の響きを作っていることになります。
なぜ胡弓なのかは公式に書かれていない
はっきりさせておきます。「なぜ胡弓を使うのか」の理由を、公式は書いていません。
公式サイトにあるのは役割の説明(三味線を追う/哀愁漂う音色)だけです。いつ胡弓が加わったのか、誰が加えたのか、なぜ選ばれたのかについて、公式の記述はありません。
祭そのものの起源についても、公式は「明確な文献が残っていないためはっきりしません」と前置きしています。分かっていないことは分かっていないと書く姿勢です。
音で確かめるのが早い
言葉で説明されるより、三味線と胡弓が重なった音を聴くほうが早いのがこの祭です。
現地では11の町が同時に流しているので、特定の町の音をじっくり聴くのは意外と難しい。事前に音を知っておくと、現地で聴き分けられます。
器楽だけの音源もあります。三味線と胡弓の演奏に絞ったものなら、胡弓が三味線をどう追っているかがはっきり分かります。
現地で聴くための準備としては、これ以上のものはありません。
町ごとに節が違うのか
違います。 公式が明記しています。
「地域によって唄い方は異なるので、味わいのある唄と哀愁漂う独特の旋律の違いをお楽しみください」
さらに「それぞれの支部で踊りの手さばきや浴衣の色柄、唄の歌詞が違うので、いくつかの町を見比べるのもおすすめです」とも書かれています。歌詞そのものが町で違うということです。
天満町の「コクボおわら」
11の町のうち、唄い方の違いを公式が具体的に書いているのは天満町だけです。
「おわらの唄の途中に『コラショット』と囃子を入れて、音程を下げて力強く歌う独特の歌い方『コクボ(川窪)おわら』があります」
要素は3つ。「コラショット」という囃子を入れる、音程を下げる、力強く歌う。
天満町は東西北の三方を川に囲まれた町です。「川窪」という名前も、この地形と関わっていると見られます(※公式に由来の記載はありません)。
町ごとの違いは おわら風の盆はどこで見るか に整理しました。
現地で歌を聞き取れるか
条件がいくつかあります。
よいほうの条件として、この祭は静かです。 公式の心得には「おわら風の盆の雰囲気を大切に。スマホの使い過ぎに注意し、大声を出さず、心でかみしめましょう」とあります。
諏訪町の紹介には「道の両脇を流れる用水の水音と狭い家並みにおわらの音曲が反響し、最高の舞台を演出します」とあります。水音が聞こえるほど静かだということです。
一方で難しい条件もあります。町流しは移動しながらなので、同じ場所にいても唄は近づいて遠ざかります。腰を据えて聴くなら、屋内の競演会ステージ(4,000円・各回350席・曳山展示館ホール)という選択肢があります。
競演会では実技30分×2支部の60分を座って聴けます。公式も「1か所に居ながらクーラーの効いたお席でゆっくりご堪能できます」と書いています。唄を聴きに行くなら競演会です。
同名の歌謡曲との混同
検索すると混ざるので整理します。
- 越中おわら節|富山県の民謡。おわら風の盆で唄われるもの
- 「おわら風の盆」「風の盆」という題名の歌謡曲|複数の歌手が歌っている別の楽曲
歌詞検索サイトの上位に出てくるのは、多くが後者です。祭で唄われている歌詞を探しているなら、「越中おわら節」で探すほうが近づきます。
民謡のCDにも、唄入りのものと器楽演奏(三味線と胡弓)のものがあります。目的で選び分けてください。
年間を通じて聴ける場所
9月1日〜3日以外にも、おわらを聴ける機会があります。越中八尾観光協会が案内しているものです。
- 「風のステージ」|曳山展示館のステージ。舞台踊りに加えておわらの説明と踊り体験。4月〜11月までの定期公演で、個人も団体も見学できる
- おわら風の盆ライブ|おわら資料館で開催(2026年は6月21日、7月26日、8月23日、9月20日、10月18日)。おわら資料館 076-455-1780
- 「おわら鑑賞」|曳山展示館のステージ・団体貸切の事前予約制
八尾おわら資料館では、おわら風の盆を紹介する映像の本編が見られます。格子戸と日本瓦葺き、漆喰仕上げの伝統的家屋を再現した館です。
本番の日程は おわら風の盆の日程、富山県内の回り方は 富山のモデルコース にまとめました。
唄を知ってから行くと何が変わるか
3つあります。
- 町の違いが分かる|歌詞も唄い方も町で違う。天満町の「コクボおわら」のように、聴けば違いが分かるものがある
- 胡弓を追える|三味線の旋律を胡弓が追う構造を知っていれば、音の重なりが聴こえる
- 静けさの意味が分かる|公式が「大声を出さず」と書く理由が、現地で腑に落ちる
踊りの違いは おわら風の盆の女踊りと男踊り に書きました。
よくある質問
Q. おわら風の盆とはどういう意味ですか。
A. 2つに分けて考えます。「おわら」は「おわらひ(大笑い)」説・大藁説・小原村説の3説があり、公式も1つに決めていません。「風の盆」は二百十日の台風の時期に、風の神様を鎮める豊作祈願に由来します。
Q. 「越中おわら風の盆」の歌詞はどこで見られますか。
A. 公式サイトに歌詞の掲載はありません。 検索すると同名の歌謡曲の歌詞が上位に出てきますが、祭で唄われているのは民謡の「越中おわら節」で別のものです。また歌詞は町によって違うと公式が書いています。
Q. なぜ胡弓を使うのですか。
A. 理由を公式は書いていません。 書かれているのは役割だけで、「三味線が旋律を奏で、哀愁漂う音色で胡弓が追います」とされています。胡弓は主旋律ではなく、三味線を追う役です。
Q. 地方(じかた)とは何ですか。
A. 唄い手をはじめ、囃子、三味線、太鼓、胡弓を演奏する人のことです。公式はこの項を「唄に寄り添う響き」という見出しで説明しています。
Q. 昼でも楽しめますか。
A. 本番は9月1日・2日が17時から、3日が19時からです。ただし西町では昼間の輪踊り(禅寺橋で石垣をバックに)が行われます。また曳山展示館の「風のステージ」は4月〜11月の定期公演なので、昼でもおわらを見聞きできます。
Q. 町によって歌が違うのですか。
A. 違います。公式が「地域によって唄い方は異なる」「それぞれの支部で踊りの手さばきや浴衣の色柄、唄の歌詞が違う」と書いています。具体例として挙げられているのは天満町の「コクボ(川窪)おわら」で、唄の途中に「コラショット」と囃子を入れ、音程を下げて力強く歌います。
まとめ|歌詞と胡弓の要点
- 祭で唄われるのは民謡の「越中おわら節」。同名の歌謡曲とは別
- 「おわら」の語源は3説(おわらひ/大藁/小原村)。公式も1つに決めていない
- 「風の盆」は風の神様を鎮める豊作祈願に由来。「盆」は休みの意味という説もある
- 唄は七五調で、江戸時代に地元八尾の遊芸の達人たちが創作した
- 地方(じかた)=唄い手・囃子・三味線・太鼓・胡弓
- 三味線が旋律を奏で、胡弓が追う。胡弓は主旋律ではない
- なぜ胡弓なのかの理由は公式に書かれていない
- 歌詞も唄い方も町で違う。天満町には「コクボおわら」がある
- 唄を腰を据えて聴くなら屋内の競演会ステージ(4,000円)
→ おわら風の盆2027の日程|9月1〜3日・3日目だけ19時開始
→ おわら風の盆はどこで見るか|11町の違い
→ おわら風の盆の女踊りと男踊り/おわら風の盆の歴史
→ 富山のモデルコース
この記事の情報は2026年10月25日時点で、おわら風の盆行事運営委員会の公式サイト「おわら風の盆とは」「11の町紹介」「競演会・チケット」および越中八尾観光協会のサイトを確認したものです。歌詞の全文は掲載していません(公式も掲載していません)。「おわら」の語源について公式は諸説あるとしており、胡弓を使う理由、胡弓が加わった時期については公式に記載がありません。
